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星の島で恋をした【完結】
第22章 《二十二》
不穏なやりとりにセルマはどうすればいいのか分からず、リクハルドの胸元に顔を擦りつけて涙を拭き取ると、顔を上げた。
「リクハルド、私はカティヤ王女の護衛だから」
カティヤ王女の元に帰らなければならない、と続けようとしたが、そのカティヤ王女に遮られた。
「セルマ、そのことだけど。あなたはわたくしの護衛から外すわ」
「っ! どうしてですか!」
まさかカティヤ王女から切られると思っていなかったセルマはその一言に衝撃を受け、リクハルドの強い拘束を振り払おうとしたが、無理だった。セルマがリクハルドの腕の中で暴れているのを横目に見つつ、カティヤ王女はため息交じりに続けた。
「わたくしだって不本意なのよ。だけどね、その男がユルヤナだから、あなたをわたくしの護衛にすることはできないの」
ユルヤナの一言に、またもやセルマの心臓はどきんと跳ねた。
昔からその名前を聞くとどきどきするのはどうしてなのだろうか。
リクハルドは腕の中で大人しくなったセルマの腰を引き寄せ、膝の上に乗せた。リクハルドはセルマを愛おしそうに見つめ、それから髪を梳き始めた。
カティヤ王女はそんなリクハルドを視界の端で見て、大きくため息を吐くと視線を逸らした。
言っても無駄なことを悟り、見ないフリをすることにしたようだ。
カティヤ王女は窓の外に視線を向けてから口を開いた。
「カールレラ王国の成り立ちは知っているわよね?」
「……はい」
カティヤ王女の先祖にあたる人は星に導かれて、魔物のせいで荒れ果て、荒涼としていたこの国にたどりついたという。そして星たちから助言を受けて土地を整えて国を興したという。
幼い頃、母に何度もせがんで聞いた国の成り立ちを改めて思い出し、セルマはひとつのことに気がついた。
「……星に、導かれて……?」
「ええ、そうよ」
カールレラ王国の国旗には星が描かれている。
それは星に導かれて国を興したからだという話と符合するのだけれど……。
「国の興りの物語はずいぶんとおとぎ話風になってしまっているけれど、王家の始祖は王国より昔から星を護ってきたユルヤナ一族に請われてこの地に流れ着いた放浪者だったのよ」
「リクハルド、私はカティヤ王女の護衛だから」
カティヤ王女の元に帰らなければならない、と続けようとしたが、そのカティヤ王女に遮られた。
「セルマ、そのことだけど。あなたはわたくしの護衛から外すわ」
「っ! どうしてですか!」
まさかカティヤ王女から切られると思っていなかったセルマはその一言に衝撃を受け、リクハルドの強い拘束を振り払おうとしたが、無理だった。セルマがリクハルドの腕の中で暴れているのを横目に見つつ、カティヤ王女はため息交じりに続けた。
「わたくしだって不本意なのよ。だけどね、その男がユルヤナだから、あなたをわたくしの護衛にすることはできないの」
ユルヤナの一言に、またもやセルマの心臓はどきんと跳ねた。
昔からその名前を聞くとどきどきするのはどうしてなのだろうか。
リクハルドは腕の中で大人しくなったセルマの腰を引き寄せ、膝の上に乗せた。リクハルドはセルマを愛おしそうに見つめ、それから髪を梳き始めた。
カティヤ王女はそんなリクハルドを視界の端で見て、大きくため息を吐くと視線を逸らした。
言っても無駄なことを悟り、見ないフリをすることにしたようだ。
カティヤ王女は窓の外に視線を向けてから口を開いた。
「カールレラ王国の成り立ちは知っているわよね?」
「……はい」
カティヤ王女の先祖にあたる人は星に導かれて、魔物のせいで荒れ果て、荒涼としていたこの国にたどりついたという。そして星たちから助言を受けて土地を整えて国を興したという。
幼い頃、母に何度もせがんで聞いた国の成り立ちを改めて思い出し、セルマはひとつのことに気がついた。
「……星に、導かれて……?」
「ええ、そうよ」
カールレラ王国の国旗には星が描かれている。
それは星に導かれて国を興したからだという話と符合するのだけれど……。
「国の興りの物語はずいぶんとおとぎ話風になってしまっているけれど、王家の始祖は王国より昔から星を護ってきたユルヤナ一族に請われてこの地に流れ着いた放浪者だったのよ」