この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
星の島で恋をした【完結】
第23章 《二十三》
*
港についたために止まった馬車の中でカティヤ王女は淋しそうな笑みをセルマに向けてきた。
「セルマ、今までありがとう」
「あの……カティヤ王女……」
いきなりの解雇宣告にセルマは戸惑い、どうすればいいのか分からず、とりあえずリクハルドに視線を向けると、甘ったるい笑みを向けられた。
リクハルドのその笑みの意味が分からないセルマは視線を逸らし、カティヤ王女をもう一度見た。
「私は……その、」
「セルマ、行くぞ」
リクハルドは話は終わりだと言わんばかりに馬車の扉を開け、セルマを抱えて出ようとした。
それに慌てたのはセルマだ。
リクハルドの腕の中でまたもや暴れた。
「セルマ、諦めろ」
「だって……!」
「あのね、セルマ。どちらにしろ、あなたは近々、わたくしの護衛から外れることになっていたの」
「……え」
カティヤ王女の一言にセルマは止まった。
「まだ公表はしていないけれど、わたくし、結婚することになりましたの」
「あ……おめでとう……ござい、ます」
「ありがとう。この間、セルマも一緒に行った視察先のあの方と結婚することになったの」
そう言われ、セルマは思い出して心が温かくなった。
というのも、とてもお似合いのふたりだと思っていたからだ。
「だから、少し早いけれど、これであなたの役目は終わりなの」
「……はい」
そう言われ、セルマはようやく納得した。
「もういいな? 行くぞ」
「え……あっ」
リクハルドはそれでもまだ名残惜しく思っているセルマを無理矢理引っ張り、馬車から降りると……。
「え、ええっ!」
リクハルドはセルマをしっかりと抱えると地面を強く蹴り、空高く飛び上がった。
そして次の瞬間には見覚えのある真っ黒な島へとたどり着いていた。
なにが起こったのかセルマは分からず、何度も瞬きをした。
一瞬にして島にたどり着くなんて、あり得ない。
港についたために止まった馬車の中でカティヤ王女は淋しそうな笑みをセルマに向けてきた。
「セルマ、今までありがとう」
「あの……カティヤ王女……」
いきなりの解雇宣告にセルマは戸惑い、どうすればいいのか分からず、とりあえずリクハルドに視線を向けると、甘ったるい笑みを向けられた。
リクハルドのその笑みの意味が分からないセルマは視線を逸らし、カティヤ王女をもう一度見た。
「私は……その、」
「セルマ、行くぞ」
リクハルドは話は終わりだと言わんばかりに馬車の扉を開け、セルマを抱えて出ようとした。
それに慌てたのはセルマだ。
リクハルドの腕の中でまたもや暴れた。
「セルマ、諦めろ」
「だって……!」
「あのね、セルマ。どちらにしろ、あなたは近々、わたくしの護衛から外れることになっていたの」
「……え」
カティヤ王女の一言にセルマは止まった。
「まだ公表はしていないけれど、わたくし、結婚することになりましたの」
「あ……おめでとう……ござい、ます」
「ありがとう。この間、セルマも一緒に行った視察先のあの方と結婚することになったの」
そう言われ、セルマは思い出して心が温かくなった。
というのも、とてもお似合いのふたりだと思っていたからだ。
「だから、少し早いけれど、これであなたの役目は終わりなの」
「……はい」
そう言われ、セルマはようやく納得した。
「もういいな? 行くぞ」
「え……あっ」
リクハルドはそれでもまだ名残惜しく思っているセルマを無理矢理引っ張り、馬車から降りると……。
「え、ええっ!」
リクハルドはセルマをしっかりと抱えると地面を強く蹴り、空高く飛び上がった。
そして次の瞬間には見覚えのある真っ黒な島へとたどり着いていた。
なにが起こったのかセルマは分からず、何度も瞬きをした。
一瞬にして島にたどり着くなんて、あり得ない。