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星の島で恋をした【完結】
第24章 《二十四》
     *

 カティヤ王女が星の島にセルマをやったのは、護衛の任が終わる前の休暇だったのだろう。

 その休暇が終われば、セルマは騎士団に戻らなければならない。



「は? 帰る? どこに? ちょっと待てよ」
「カティヤ王女の護衛から外されたけど、私の籍はまだ騎士団にあるから」
「……ないよ」


 リクハルドの不機嫌な声にセルマは首を振った。

 カティヤ王女の護衛の仕事は騎士団として派兵されたものだった。

 任は解かれたけれど、騎士団から退団されたとは言われていない。

 だから帰らなければならない。



「セルマは俺の対になったんだから、騎士団の所属もなくなった」
「え」
「セルマの帰る場所は、俺の腕の中しかない」
「……だって、それって……一族の使命、なんでしょう?」


 使命でというのならば、セルマは耐えられそうになかった。

 セルマの質問にリクハルドは盛大なため息を吐いた。



「なんかすごい勘違いをされているみたいだから言っておくけど」


 リクハルドはそう言って、俯いているセルマの頬に手をあて、顔を上げさせた。

 セルマの瞳からはまだ涙が出ていたけれど、リクハルドは唇を寄せ、涙を吸い取った。



「しょっぱいな」
「な……!」
「俺の腕の中であんあんよがっているときに流した涙はあんなに甘かったのに」
「っ!」


 この男はなんてことを言うのだろう。

 セルマは真っ赤になって文句を言おうとしたが、リクハルドの唇にふさがれた。

 熱い舌が中を割って入ってきて、くちゅくちゅと水音が耳朶を犯していく。

 セルマは最初、抵抗をしたものの、すっかりリクハルドに慣らされてしまった身体は舌が擦り合わされるごとに甘い記憶を呼び起こされ、力が抜けていく。

 隙間なく口内を犯され、息が苦しくなってきた頃にようやくリクハルドの舌が抜け出た。



「俺だって最初、悩んだよ。一目見て、心を乱されたのはセルマがアステリ持ちだったからだと思ったし、虹の星に愛されたのを見て、ずっと探していた対だって気がついて、そのせいでセルマにひどく惹かれてしまっている自分がすごく嫌だった」
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