この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
星の島で恋をした【完結】
第1章 《一》
穏やかな海の上を波を切り裂くように進む舟上で、セルマは睨みつけるようにまっすぐ前を見ていた。舟はかなりの速度で進んでいて、セルマの結んでいない長い茶色の髪をかき乱した。
しばらくそうしていると、青い海の向こうに黒い影が見えてきた。あれがこれからセルマが訪れようとしている島なのかもしれない。
島影をさらに見ようと目を凝らしたが、黒い塊としか認識できなかった。
しかし、島が近づくにつれ、それが島の影ではなく、島そのものの色だと気がついた。そればかりか、島から漂ってくる異様な雰囲気に落ち着かない気持ちになった。
カティヤ王女自らの勧めでここに来たけれど、果たして大丈夫なのだろうか。セルマは初めて信頼する王女に対して疑念を抱いた。
しかし次の瞬間、すぐにその考えを打ち消そうと強く首を振り──ずきりと左肩が痛んだ。呻き声を上げそうになり、セルマはぐっと唇を噛みしめて、声を飲み込んだ。
カティヤ王女を疑うなんて、それは間違っている。ここに間違いないのだと、セルマは不安な気持ちを打ち消すために緑色の瞳を閉じた。
しばらくそうしていると、青い海の向こうに黒い影が見えてきた。あれがこれからセルマが訪れようとしている島なのかもしれない。
島影をさらに見ようと目を凝らしたが、黒い塊としか認識できなかった。
しかし、島が近づくにつれ、それが島の影ではなく、島そのものの色だと気がついた。そればかりか、島から漂ってくる異様な雰囲気に落ち着かない気持ちになった。
カティヤ王女自らの勧めでここに来たけれど、果たして大丈夫なのだろうか。セルマは初めて信頼する王女に対して疑念を抱いた。
しかし次の瞬間、すぐにその考えを打ち消そうと強く首を振り──ずきりと左肩が痛んだ。呻き声を上げそうになり、セルマはぐっと唇を噛みしめて、声を飲み込んだ。
カティヤ王女を疑うなんて、それは間違っている。ここに間違いないのだと、セルマは不安な気持ちを打ち消すために緑色の瞳を閉じた。