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星の島で恋をした【完結】
第1章 《一》
*
セルマ=ラトゥリはカールレラ王国でカティヤ王女の護衛をしていた。
カティヤ王女はカールレラ王国の末姫だが、基本的には分別のないわがままを言ったりして周りを困らせるようなことはなく、周りに気を配ることを忘れない聡明な女性だ。
セルマは王女付きの護衛に抜擢されたとき、戸惑いと不安があったが、カティヤ王女に会い、気さくさと親しみやすさに安堵した。セルマの勤めはカティヤ王女が嫁ぐまでというあやふやな期間が設けられていたが、カティヤ王女が無事に嫁ぐその日まで勤め上げるつもりでいた。
そんなカティヤ王女だが、国内の有力な貴族の元か、あるいは他国に嫁ぐことになっていた。何人かの候補者はいたが、王と兄が選考中ということだった。
そして今回、そのうちの候補者の一人の領地に視察ということで、二泊三日の日程でカティヤ王女は出掛けた。
行きは問題なく、快適だった。視察先の領地も管理が行き届いていたし、なによりも領地民の生き生きした笑顔にカティヤ王女は始終笑顔だった。
さらにお相手はカティヤ王女の三つほど上の人物で、見た目も性格も問題なく、二人はなかなかよい感じだとセルマはホッとしていた。
そんな上機嫌な帰路の半ばで、カティヤ王女一行は襲撃に遭った。しかしセルマをはじめとして何人かの手練れが護衛としてついていたので難なく撃退出来たのだが、最後の一人が地面に倒れて油断したそのとき。
木の陰に隠れていた一人がカティヤ王女に矢を射かけた。
セルマは弦が唸った音を拾い、とっさにカティヤ王女をかばった。
矢はセルマの左肩に被弾した。もう少しずれていたら心臓を一突きという危うい場所。
すぐに射撃者は見つけられて事なきを得たのだが、セルマはそのせいで護衛役から退かなければならなくなった。
悲しんだのはカティヤ王女だ。セルマは彼女に初めて付けられた女性の護衛だったため、姉のように慕っていたのだ。
カティヤ王女は普段は物わかりが良いのだが、この時ばかりはごねにごねまくった。
そしてカティヤ王女は思い出したのだ。『星の島』と呼ばれている奇跡の島のことを。
星の島──別名を星の墓場と呼ばれているそこは、寿命を迎えた星たちが訪れ、命を終わらせる島だった。
セルマ=ラトゥリはカールレラ王国でカティヤ王女の護衛をしていた。
カティヤ王女はカールレラ王国の末姫だが、基本的には分別のないわがままを言ったりして周りを困らせるようなことはなく、周りに気を配ることを忘れない聡明な女性だ。
セルマは王女付きの護衛に抜擢されたとき、戸惑いと不安があったが、カティヤ王女に会い、気さくさと親しみやすさに安堵した。セルマの勤めはカティヤ王女が嫁ぐまでというあやふやな期間が設けられていたが、カティヤ王女が無事に嫁ぐその日まで勤め上げるつもりでいた。
そんなカティヤ王女だが、国内の有力な貴族の元か、あるいは他国に嫁ぐことになっていた。何人かの候補者はいたが、王と兄が選考中ということだった。
そして今回、そのうちの候補者の一人の領地に視察ということで、二泊三日の日程でカティヤ王女は出掛けた。
行きは問題なく、快適だった。視察先の領地も管理が行き届いていたし、なによりも領地民の生き生きした笑顔にカティヤ王女は始終笑顔だった。
さらにお相手はカティヤ王女の三つほど上の人物で、見た目も性格も問題なく、二人はなかなかよい感じだとセルマはホッとしていた。
そんな上機嫌な帰路の半ばで、カティヤ王女一行は襲撃に遭った。しかしセルマをはじめとして何人かの手練れが護衛としてついていたので難なく撃退出来たのだが、最後の一人が地面に倒れて油断したそのとき。
木の陰に隠れていた一人がカティヤ王女に矢を射かけた。
セルマは弦が唸った音を拾い、とっさにカティヤ王女をかばった。
矢はセルマの左肩に被弾した。もう少しずれていたら心臓を一突きという危うい場所。
すぐに射撃者は見つけられて事なきを得たのだが、セルマはそのせいで護衛役から退かなければならなくなった。
悲しんだのはカティヤ王女だ。セルマは彼女に初めて付けられた女性の護衛だったため、姉のように慕っていたのだ。
カティヤ王女は普段は物わかりが良いのだが、この時ばかりはごねにごねまくった。
そしてカティヤ王女は思い出したのだ。『星の島』と呼ばれている奇跡の島のことを。
星の島──別名を星の墓場と呼ばれているそこは、寿命を迎えた星たちが訪れ、命を終わらせる島だった。