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星の島で恋をした【完結】
第6章 《六》
男の手が肩から離れ、身体をどんと押されて男と距離が出来た。
セルマはよろけたが、どうにか立っていられた。
体勢を整えてから、どうして急に押されたのかとむっとして振り返ると、少し離れたところに腕から血を流している男がいた。
「おまえ……!」
「思った以上にそれ、厄介だな」
「私のせいで血が……?」
「いや、おまえのせいではない。油断していた俺が悪い」
左肩がざわりとざわついていた。視界の端に黒いなにかが見えて驚いてさらに首をひねると、黒い蔦の端が見えた。
今までなかったそれにセルマは驚き、目を見開いた。
「蔦が……」
「その蔦、おまえを媒介にしてこちらの世界に出てこようとしている」
蔦は危険がなくなったと判断したのか、しゅるりとセルマの肩へと消えていった。見間違いだったのではないかと思うほど、気配がなくなった。
「カティヤに報告してくる」
男はそれだけいうとセルマに背を向けて遠ざかっていった。
「あ……」
セルマのせいではないと言っていたけれど、それでも彼の腕を傷つけてしまった。謝らなければと思ったけれど、もう声が届かないと思われるほど離れてしまった。
透明な風がむき出しになったセルマの肩を撫でていった。
先ほどの痛みはすでになくなっていた。
セルマはよろけたが、どうにか立っていられた。
体勢を整えてから、どうして急に押されたのかとむっとして振り返ると、少し離れたところに腕から血を流している男がいた。
「おまえ……!」
「思った以上にそれ、厄介だな」
「私のせいで血が……?」
「いや、おまえのせいではない。油断していた俺が悪い」
左肩がざわりとざわついていた。視界の端に黒いなにかが見えて驚いてさらに首をひねると、黒い蔦の端が見えた。
今までなかったそれにセルマは驚き、目を見開いた。
「蔦が……」
「その蔦、おまえを媒介にしてこちらの世界に出てこようとしている」
蔦は危険がなくなったと判断したのか、しゅるりとセルマの肩へと消えていった。見間違いだったのではないかと思うほど、気配がなくなった。
「カティヤに報告してくる」
男はそれだけいうとセルマに背を向けて遠ざかっていった。
「あ……」
セルマのせいではないと言っていたけれど、それでも彼の腕を傷つけてしまった。謝らなければと思ったけれど、もう声が届かないと思われるほど離れてしまった。
透明な風がむき出しになったセルマの肩を撫でていった。
先ほどの痛みはすでになくなっていた。