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星の島で恋をした【完結】
第11章 《十一》
 男の腕の中から離されることはなかったが、それが返ってセルマに淋しさを感じさせた。

 突き放してくれれば、セルマも男の腕を諦めることができた。

 それなのにこの温もりと近いうちに別れなければならないのに、まるでセルマに忘れるなと言わんばかりに刻み込んでくる。



 透明な風がふたりを包み込むように吹いていく。

 島を渡る風までセルマを引き留めようとしているようで、泣きそうになるほど、悲しくなった。

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