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星の島で恋をした【完結】
第11章 《十一》
セルマは今までカティヤ王女を護ってきたし、これからも護っていくつもりだ。だから自分が護られる立場になることはないと分かっていたけれど、案外、護られるというのもいいのかもしれない。
しかし、セルマはだれかの背中を見て護られている自分というのが想像できないし、そんなに弱いとも思っていない。
背中を預けられる人か、あるいは背中合わせでともに戦っていける人がいい。
──そんなこと、今の今まで思ったことがなかったのに、なぜか急にそんな思いが浮かんできて、戸惑った。
「どうした? 俺が作ったの、不味いか?」
急に手を止めたセルマに、男は不安そうに声をかけてきた。
考え事をしていたため、手が止まってしまったらしい。
セルマはそれはないと慌てて口を開いた。
「あ……いや、美味しい。私の口にとても合う」
「そうか、よかった!」
セルマの言葉に笑顔になった男を見て、どきりと胸が高鳴った。
ただいるだけでも金色にきらきらと輝いて見えるのに、てらいもなく笑うとまぶしくて仕方がない。
セルマはどきどきする気持ちを抑えるため、目を細めて木陰から島へと視線を向けた。
島は今日も真っ黒だったし、風は相変わらず透明だったけれど、慣れたからなのか、それとも男が側にいるからなのか、昨日ほど不安に駆られない。
「セルマのためにまた、ご飯作るよ」
「あ……うん、ありがとう」
「なんなら、ずっと作ってもいいぞ?」
遠回しにこの島にずっといるといいと言っているように聞こえたため、セルマはそれを否定するために小さく首を振った。
セルマはこの島の客人だ。
肩口の傷は塞がったようだが、呪いが解けたのかは分からない。もしも解呪されたのなら、男に言われたスキアを倒し、それが終わればカティヤ王女の元へ帰らなければならない。
「私は……帰らなければならない」
そう言葉を告げたとき、セルマの心はずきりと痛んだ。
セルマの居場所はカティヤ王女の側。
昨日まではそう思っていたのに、どうして今は違うと思ってしまっているのだろうか。
セルマの答えに、男から笑みが消え、淋しそうな表情に変わった。
「そう、だったな」
ぽつりと呟かれた言葉に、セルマはまた男の笑顔を見たいと思ったが、しかし、嘘は言えなかった。
しかし、セルマはだれかの背中を見て護られている自分というのが想像できないし、そんなに弱いとも思っていない。
背中を預けられる人か、あるいは背中合わせでともに戦っていける人がいい。
──そんなこと、今の今まで思ったことがなかったのに、なぜか急にそんな思いが浮かんできて、戸惑った。
「どうした? 俺が作ったの、不味いか?」
急に手を止めたセルマに、男は不安そうに声をかけてきた。
考え事をしていたため、手が止まってしまったらしい。
セルマはそれはないと慌てて口を開いた。
「あ……いや、美味しい。私の口にとても合う」
「そうか、よかった!」
セルマの言葉に笑顔になった男を見て、どきりと胸が高鳴った。
ただいるだけでも金色にきらきらと輝いて見えるのに、てらいもなく笑うとまぶしくて仕方がない。
セルマはどきどきする気持ちを抑えるため、目を細めて木陰から島へと視線を向けた。
島は今日も真っ黒だったし、風は相変わらず透明だったけれど、慣れたからなのか、それとも男が側にいるからなのか、昨日ほど不安に駆られない。
「セルマのためにまた、ご飯作るよ」
「あ……うん、ありがとう」
「なんなら、ずっと作ってもいいぞ?」
遠回しにこの島にずっといるといいと言っているように聞こえたため、セルマはそれを否定するために小さく首を振った。
セルマはこの島の客人だ。
肩口の傷は塞がったようだが、呪いが解けたのかは分からない。もしも解呪されたのなら、男に言われたスキアを倒し、それが終わればカティヤ王女の元へ帰らなければならない。
「私は……帰らなければならない」
そう言葉を告げたとき、セルマの心はずきりと痛んだ。
セルマの居場所はカティヤ王女の側。
昨日まではそう思っていたのに、どうして今は違うと思ってしまっているのだろうか。
セルマの答えに、男から笑みが消え、淋しそうな表情に変わった。
「そう、だったな」
ぽつりと呟かれた言葉に、セルマはまた男の笑顔を見たいと思ったが、しかし、嘘は言えなかった。