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星の島で恋をした【完結】
第12章 《十二》

*
二人はのんびりとガゼボで背中合わせに座って透明な風に吹かれていた。
聞きたいこと、聞かなければいけないことがあるはずなのに、こうやってぬくもりを分かち合っているとそれで満足してしまう。
よくないことだと分かっていた。
それでも──今日だけでも。
明日、話を聞こう。
セルマはそうやって後回しにして、リクハルドに背中を預けた。
やがて太陽が傾いてきて、昨日と同じように海へ潜るように沈んでいく。
太陽から遠い陸地から白く輝き始めて、空から星が訪れては弾けて消えていく。
「ここで毎日、こうやって星が消えていくのを見ていて、淋しいとか儚いとか思わないの?」
セルマの質問にリクハルドは笑みを浮かべた。だけど背中合わせなのでセルマにはその表情は見えない。
「淋しくないよ。ここは世界で一番、美しい光景を見ることができる場所だ。人の一生よりも長い寿命を持つ星たちが毎日たくさん最期の煌めきを俺に見せてくれる。きちんと見てやらないとって思うから、淋しくない」
「そういうものなのかな」
「そういうものだ。それに、星はここで弾けて終わりじゃない」
「……終わりではないの?」
「弾けた星はまた合わさって、新しい星に生まれ変わる。ほら、あそこ」
リクハルドの指の先をセルマはたどり、そして見た。
白く輝く陸地の上で弾けた星が地面に吸い込まれたかと思ったら、眩い光を発してそこから空に向かって飛び出して行った。
「ほらね。あっちにも」
「……綺麗」
「終わりの光と始まりの光だ」
セルマはしばらくの間、空から降りてきて弾ける星と、その星の中から新たに生まれる星を見つめていた。
「終わりがあるから始まりがある」
「そう。──セルマ、あれだ」
背後に座っていたリクハルドがいきなり立ち上がったことで、セルマは預けていた背中の支えがなくなって転がった。
「早く捕まえよう。あれがスキアを倒す鍵になる」
そう言ってリクハルドは少し先で虹色に光っている地面を指さした。
「セルマ、あそこに行って上に立って」
二人はのんびりとガゼボで背中合わせに座って透明な風に吹かれていた。
聞きたいこと、聞かなければいけないことがあるはずなのに、こうやってぬくもりを分かち合っているとそれで満足してしまう。
よくないことだと分かっていた。
それでも──今日だけでも。
明日、話を聞こう。
セルマはそうやって後回しにして、リクハルドに背中を預けた。
やがて太陽が傾いてきて、昨日と同じように海へ潜るように沈んでいく。
太陽から遠い陸地から白く輝き始めて、空から星が訪れては弾けて消えていく。
「ここで毎日、こうやって星が消えていくのを見ていて、淋しいとか儚いとか思わないの?」
セルマの質問にリクハルドは笑みを浮かべた。だけど背中合わせなのでセルマにはその表情は見えない。
「淋しくないよ。ここは世界で一番、美しい光景を見ることができる場所だ。人の一生よりも長い寿命を持つ星たちが毎日たくさん最期の煌めきを俺に見せてくれる。きちんと見てやらないとって思うから、淋しくない」
「そういうものなのかな」
「そういうものだ。それに、星はここで弾けて終わりじゃない」
「……終わりではないの?」
「弾けた星はまた合わさって、新しい星に生まれ変わる。ほら、あそこ」
リクハルドの指の先をセルマはたどり、そして見た。
白く輝く陸地の上で弾けた星が地面に吸い込まれたかと思ったら、眩い光を発してそこから空に向かって飛び出して行った。
「ほらね。あっちにも」
「……綺麗」
「終わりの光と始まりの光だ」
セルマはしばらくの間、空から降りてきて弾ける星と、その星の中から新たに生まれる星を見つめていた。
「終わりがあるから始まりがある」
「そう。──セルマ、あれだ」
背後に座っていたリクハルドがいきなり立ち上がったことで、セルマは預けていた背中の支えがなくなって転がった。
「早く捕まえよう。あれがスキアを倒す鍵になる」
そう言ってリクハルドは少し先で虹色に光っている地面を指さした。
「セルマ、あそこに行って上に立って」

