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星の島で恋をした【完結】
第13章 《十三》
     *



 昨日は拒絶されたのに、今日は問題なく足を踏み入れることができた。



「昨日、セルマの身体に星を埋め込んだから」
「あ……」


 今はすっかり痛みはなくなったけれど、あの痛みはそういうことだったのかと繋がった。



「それに、島はセルマを拒絶したのではなくて、肩の蔦が嫌がっていたんだ」


 リクハルドと手を繋いで虹色に光る地面まで歩いて行った。

 そこは周りとも様子がまったく違っていて、地面だけではなく、空に向かってもどこまでも虹色に輝いていた。



「ここには乙女にしか触れることができない武器が隠されている」
「……武器?」
「そう。使われなかったらそのまま空に昇って新たな星になるけれど、乙女が来るのを待っている虹色の星」


 虹色の地面の目の前まで来て、セルマの足が止まった。



「それって……使ったらこの虹の星は空に行けないってことでしょう?」


 セルマの質問にリクハルドは首を振った。



「スキアは星を食べた」


 リクハルドはセルマの背後に立ち、包み込んだ。



「光になり、また星に生まれ変わるはずだった星を助けなければならない」
「リクハルド、それは私の質問の答えになってない」


 セルマの責める言葉にリクハルドはセルマの肩口に顔を埋めた。リクハルドの唇は首の付け根へと行き、舌を這わしてきてセルマの身体がびくりと跳ねた。



「虹の星はきちんと空にのぼれる」
「……本当?」
「ああ。孤独ではないからその方がいいのかもしれない」


 リクハルドの言葉の意味が分からなかったけれど、セルマはその言葉を信じて、腕を虹色に光る空間に差し込んだ。

 セルマが腕を差し入れた途端、きらきらとした光がセルマの腕にまとわりつき始めた。



「なに、これっ!」


 腕を引き抜こうとしたら、背後からリクハルドが腕を固定してきたので動けなくなった。



「セルマ、おまえはもう俺から逃れられなくなった」
「な……に?」
「まさかセルマが俺が探していた人だったとは」


 その囁きの意味が分からずセルマは呆然とリクハルドにされるがままになっていた。
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