この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
星の島で恋をした【完結】
第16章 《十六》
     *

 スキアの咆哮が入り江全体に響いた。

 リクハルドは種が埋まりきったのを確認すると走ってスキアから遠ざかった。



「【エラ カセオ ム オヨ オノー】」


 リクハルドの詠唱が終わると同時に呪いの種が埋め込まれたところから炎が噴き出した。そしてそれはあっという間にスキアの全身に燃え広がった。



「グギャギャアアア」


 という断末魔があたりに響き渡る。

 これで終わりなのだろうかとほっとしたところでリクハルドが焦ったようにセルマに叫んだ。



「セルマ、影から遠ざかって!」
「……え?」


 リクハルドの声が聞こえたのと同時にセルマの背中がぞわりと震えた。

 反射的に影から遠ざかったのだが。



「ったいっ!」


 がりっという音がして、セルマの視界に血しぶきが飛び散った。

 それでもセルマは後退して影から離れた。



「セルマっ」
「大丈夫、引っかかれただけだから!」
「……くそっ」


 血が飛び散った割には傷は浅そうだった。ただ、範囲は思ったより広そうだったが。



「【エアミ スエテ イック】」


 リクハルドの今まで聞いたことがないほどの低い声での詠唱に、セルマは震え上がった。

 セルマの少し先にある影は燃え上がる炎から逃れようともがき蠢いていたのだが、リクハルドが詠唱を終えた途端、キィというひときわ甲高い断末魔を上げると弾けるようにして消え去っていった。

 思ったよりもあっけない最期に、セルマは呆然とスキアがいた空間を見つめていた。



 ぼんやりとしていたセルマの横にいつの間にかリクハルドが来て、抱き寄せられた。



「セルマ……!」


 焦ったのはセルマだ。



「リクハルド、血で汚れるから!」


 セルマはリクハルドを突き放そうとしたが、力一杯抱きしめられていて、できなかった。

 リクハルドの服を汚してしまうことを気にしていたが、離してくれない。そればかりか、さらにきつく締めてきた。



「俺がついていながら悪かった」
「……ううん、私が油断していたから」


 影に気をつけるようにと言われていたのにそのことをすっかり忘れていたセルマが悪いのだ。しかもまだ終わってもないのに気を緩めたのもいけなかった。
/137ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ