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第4章 求め合う心

　これは我ながら、なかなか良い推量だと思った。男は見たところ、二十代前半くらい、二十二、三。丁度、尹家の当主北斗の嫡子南斗も同じ歳格好ゆえ、満更、当たっていないとも限らない。
　期待に眼を輝かせて見上げる梨花をちらりと見、男は笑った。
「君は実に面白い娘だな」
「もしかして、外れました？」
　梨花が恐る恐る訊くと、とうとう男は声を上げて笑い出した。
「当たらずも遠からずといったところだ」
「うーん、判りません。当たってはいないけれど、正解に近いということなのでしょう？」
　梨花は弱り切って、更に顔を近づけ男を観察した。
　しばらく二人の間に沈黙が落ちた。
　ややあって、男が眼を細めた。
「妙鈴の女人から、このように間近でじいっと見つめられたのは初めてだよ。そんなに見つめられては、私の顔に穴が空きそうだ」
「す(ハ )、済みません(ハンゴンハオニダ)」
　梨花は狼狽え、頭を下げた。