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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第4章 求め合う心
「いや、何も咎めているわけではないから、安心して。むしろ、思わぬ役得というところかな」
「は?」
梨花は男の言葉の意味を計りかね、当惑する。
「あ、あの」
「何だい?」
おずおずと切り出した梨花に、男は優しい眼を向けた。
梨花は両手を胸の前で組んだ格好で、男を見上げる。
「お願いです。若(トル)さま(ニム)には、このことは内緒にして頂けませんか?」
男は思わぬことを言われ、面食らったようだ。
「それは、どうして?」
「私は、このお屋敷に上がって、まだほんの少しの新参者です。やっと決まった奉公先ですので、もし、こちらの若さまの大切なお客さまに粗相があったと知られて、暇を出されてしまっては困るのです」
「は?」
梨花は男の言葉の意味を計りかね、当惑する。
「あ、あの」
「何だい?」
おずおずと切り出した梨花に、男は優しい眼を向けた。
梨花は両手を胸の前で組んだ格好で、男を見上げる。
「お願いです。若(トル)さま(ニム)には、このことは内緒にして頂けませんか?」
男は思わぬことを言われ、面食らったようだ。
「それは、どうして?」
「私は、このお屋敷に上がって、まだほんの少しの新参者です。やっと決まった奉公先ですので、もし、こちらの若さまの大切なお客さまに粗相があったと知られて、暇を出されてしまっては困るのです」