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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第4章 求め合う心
男が納得したように頷いた。
「道理で、君をこの屋敷で見かけたことがなかったわけだ。ここに来て、どれくらいになるの?」
「まだ五日めです」
「判った。このことは、けして口外しないと約束しよう」
男がきっぱりと言い、梨花は安堵のあまり涙が出そうになった。
「ありがとう(コマ)ござい(スニ)ます(ダ )」
「それで、君は何をくれる?」
「え―」
今度は、梨花が予期せぬ言葉に戸惑う番である。
「私が誰にも言わないと約束したら、君は引き替えに何をくれる?」
「私―、何も差し上げられるようなものなんて、ないんです。一体、何を差し上げたら良いのか」
男が更に悪戯を思いついた子どものような顔になった。そのことに、梨花は気づかない。
「道理で、君をこの屋敷で見かけたことがなかったわけだ。ここに来て、どれくらいになるの?」
「まだ五日めです」
「判った。このことは、けして口外しないと約束しよう」
男がきっぱりと言い、梨花は安堵のあまり涙が出そうになった。
「ありがとう(コマ)ござい(スニ)ます(ダ )」
「それで、君は何をくれる?」
「え―」
今度は、梨花が予期せぬ言葉に戸惑う番である。
「私が誰にも言わないと約束したら、君は引き替えに何をくれる?」
「私―、何も差し上げられるようなものなんて、ないんです。一体、何を差し上げたら良いのか」
男が更に悪戯を思いついた子どものような顔になった。そのことに、梨花は気づかない。