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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
昼間は二人ともに忙しく、それぞれの仕事に忙殺され、ろくに話をする時間もないままに過ぎた。途中、何度か顔を合わせた隙に、走り書きについて訊ねることもできのだけれど、走り書きには、はっきりと〝誰にも知れたくない、話せない大切な話〟と書いてあった。
ゆえに、誰が耳をそばだてているか知れない場所で、あからさまに問うのは、はばかられたのだ。何より、友の信頼を裏切りたくなかった。
それで、つい訊きそびれてしまった。
チョンハとは別室だったため、本当に彼女が書いた手紙か―、彼女もまた部屋をこっそりと抜け出しているのかを確かめるすべもない。チョンハの部屋を覗いたりして、他の誰かに勘づかれても困るのだ。
結局、約束の時間にここまで来ることになってしまった。
月明かりの中に、ひっそりと荒れ果てた物置小屋が建っている。取り壊されないのが不思議なくらいの荒れ様だ。
ゆえに、誰が耳をそばだてているか知れない場所で、あからさまに問うのは、はばかられたのだ。何より、友の信頼を裏切りたくなかった。
それで、つい訊きそびれてしまった。
チョンハとは別室だったため、本当に彼女が書いた手紙か―、彼女もまた部屋をこっそりと抜け出しているのかを確かめるすべもない。チョンハの部屋を覗いたりして、他の誰かに勘づかれても困るのだ。
結局、約束の時間にここまで来ることになってしまった。
月明かりの中に、ひっそりと荒れ果てた物置小屋が建っている。取り壊されないのが不思議なくらいの荒れ様だ。