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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
 北斗は清国に長期滞在し、たくさんの輸入品を船に積んで帰ってくる。主の留守中も息子の南斗が万事滞りなくやっているが、やはり、商団の大行首北斗の存在は大きかった。
「―綺麗。雪に朝陽が当たって、まるで宝石のように輝いていますね」
 梨花が微笑む。
 南斗が唐突に言った。
「海棠は宝玉などに興味はないのか?」
 予期せぬ話題をふられ、梨花は眼を瞠った。
「身を飾る宝飾品には、あまり興味はありません」
 正直に思ったままを言うと、南斗は声を立てて笑う。
「そなたらしいな。光り輝く宝石の類にはとんと無関心か」
 南斗があまりに笑うので、梨花が頬を膨らませる。
「笑い過ぎです、若さま。それは私だって、綺麗なものは好きです。何と言っても、一応、年頃の娘ですから。でも、他の人のように欲しいとまでは思いません」
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