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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第6章 兄の心
自分の家、家族とは本当に良いものだ。我が家を離れて初めて、梨花は自分にとって兄と父がどれほど大切な存在かを知った。
そこで、小さく肩を竦める。
「あんまり大きな声を出しては、お父さんを起こしてしまうわ」
梨花とソルグクは父を起こさないように極力注意して声を潜める。
筆まめな兄からはしばしば文が届くため、互いの近況報告といっても実のところ、あまり話すことはない。
他愛ない話の合間に、兄が自分を凝視しているのに気づき、梨花は眼をまたたかせた。
「お兄ちゃん、どうかした?」
訊ねてみても、ソルグクは惚けたようにこちらを見ているだけで、何も応えない。
「お兄ちゃん!?」
今度は少し大きな声で呼ばわる。
ソルグクが眼を見開いた。
「おっ、どうした。何か言ったか?」
「いやね。何をボウっとしてるの? さては、恋煩いね。ついに、好きな女(ひと)でもできたの
?」
そこで、小さく肩を竦める。
「あんまり大きな声を出しては、お父さんを起こしてしまうわ」
梨花とソルグクは父を起こさないように極力注意して声を潜める。
筆まめな兄からはしばしば文が届くため、互いの近況報告といっても実のところ、あまり話すことはない。
他愛ない話の合間に、兄が自分を凝視しているのに気づき、梨花は眼をまたたかせた。
「お兄ちゃん、どうかした?」
訊ねてみても、ソルグクは惚けたようにこちらを見ているだけで、何も応えない。
「お兄ちゃん!?」
今度は少し大きな声で呼ばわる。
ソルグクが眼を見開いた。
「おっ、どうした。何か言ったか?」
「いやね。何をボウっとしてるの? さては、恋煩いね。ついに、好きな女(ひと)でもできたの
?」