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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第8章 終焉
急に逢って下さらなくなったかと思ったら、今度は、いなくなるだなんて。あんまりです。死んでしまったら、追いかけてゆくこともできないじゃありませんか―」
梨花は南斗の頬にそっと触れる。側で見ているだけでは、眠っているようにしか見えないのに、触れたその冷たさが最愛の男の〝死〟を紛うことなく告げていた。
「私を嫌いになったのなら、ちゃんと嫌いだって、もう顔を見るのも嫌になったって、そうおっしゃって下さい。ちゃんと伝えて下さらないと、返事を聞きにあの世まで追いかけていきますよ。それでも良いんですか?」
南斗の身体に取り縋り、梨花は号泣した。
尹南斗の死は〝病死〟と世間には公表された。大行首は猛威徳の遺族に莫大な香典を贈ったが、その中には口止め料も多分に入っていた。
梨花は南斗の頬にそっと触れる。側で見ているだけでは、眠っているようにしか見えないのに、触れたその冷たさが最愛の男の〝死〟を紛うことなく告げていた。
「私を嫌いになったのなら、ちゃんと嫌いだって、もう顔を見るのも嫌になったって、そうおっしゃって下さい。ちゃんと伝えて下さらないと、返事を聞きにあの世まで追いかけていきますよ。それでも良いんですか?」
南斗の身体に取り縋り、梨花は号泣した。
尹南斗の死は〝病死〟と世間には公表された。大行首は猛威徳の遺族に莫大な香典を贈ったが、その中には口止め料も多分に入っていた。