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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第8章 終焉
梨花はふと脚を止め、橋のたもとにひっそりと咲く海棠の花を見つめた。
季節はめぐり、薄紅色の花がひらく季節が再びやって来た。
ここは漢陽の外れ、十一年前、梨花が倒れていた場所だ。ここから梨花の新しい人生が始まった。林梨花は一度死んで、崔海棠として生まれ変わったのである。
南斗が突如としていなくなって、三ヵ月が経った。死者の魂を慰め鎮める区切りの法要も滞りなく終わった。
梨花がもう尹家の屋敷にいる意味はない。奉公を辞めたいのだと申し出たところ、グミョンはひとたびは引き止めたが、梨花の決意が固いのを見ると、許してくれた。
ひとしきり花を愛でてから、再び歩き始める。石橋を渡り、のんびりと歩いてゆくと、懐かしい我が家が見えてきた。
見慣れたはずの小さな家が無性に懐かしい。尹家にいたのは実質七ヵ月ほどなのに、もう十年くらい家を離れていたような気がしてならない。
季節はめぐり、薄紅色の花がひらく季節が再びやって来た。
ここは漢陽の外れ、十一年前、梨花が倒れていた場所だ。ここから梨花の新しい人生が始まった。林梨花は一度死んで、崔海棠として生まれ変わったのである。
南斗が突如としていなくなって、三ヵ月が経った。死者の魂を慰め鎮める区切りの法要も滞りなく終わった。
梨花がもう尹家の屋敷にいる意味はない。奉公を辞めたいのだと申し出たところ、グミョンはひとたびは引き止めたが、梨花の決意が固いのを見ると、許してくれた。
ひとしきり花を愛でてから、再び歩き始める。石橋を渡り、のんびりと歩いてゆくと、懐かしい我が家が見えてきた。
見慣れたはずの小さな家が無性に懐かしい。尹家にいたのは実質七ヵ月ほどなのに、もう十年くらい家を離れていたような気がしてならない。