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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第8章 終焉
念のために二番目と三番目を明けてみるが、父の衣服の入っている四番目は別として、後は哀しいくらい何もなかった。
梨花は家を飛び出した。
隣家の前で、おばさんが赤ン坊を抱いてあやしている。嫁いでいる娘が孫を連れて帰ってきているのかもしれない。
「おばさん、こんにちは」
「おや、お帰り。今日はお休みを貰ったのかい?」
愛想良く訊ねてよこすのに、梨花は首を振った。
「辞めて帰ってきたの。おばさんには、留守の間、本当にお世話になって。何と言ってお礼を意ったら良いか。ありがとう」
頭を下げてから、梨花は続けた。
「ところで、おばさん。お兄ちゃんは、どこかに出かけたのかしら。実は荷物が全部なくなってるの」
刹那、おばさんがハッとした表情になった。
梨花は家を飛び出した。
隣家の前で、おばさんが赤ン坊を抱いてあやしている。嫁いでいる娘が孫を連れて帰ってきているのかもしれない。
「おばさん、こんにちは」
「おや、お帰り。今日はお休みを貰ったのかい?」
愛想良く訊ねてよこすのに、梨花は首を振った。
「辞めて帰ってきたの。おばさんには、留守の間、本当にお世話になって。何と言ってお礼を意ったら良いか。ありがとう」
頭を下げてから、梨花は続けた。
「ところで、おばさん。お兄ちゃんは、どこかに出かけたのかしら。実は荷物が全部なくなってるの」
刹那、おばさんがハッとした表情になった。