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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第8章 終焉
「それじゃア、ソルグクは、あんたに何も言わないで行っちまったのかい?」
「それは、どういうことなの。おばさん」
食いつかんばかりの勢いに、流石のおばさんも少し気圧された様子だ。
「私が訊ねたときには、海棠にはちゃんと話してあるからと言っていたんだけどねえ。早く行ってごらんよ。いつ今し方、うちに挨拶に来たから、急げば間に合うかもしれない」
今度は礼を言うのもそこそこに、梨花は方向転換をして走り出した。
つい今し方、おばさんの家に挨拶に行ったというのなら、梨花とは入れ違いになったのだろう。梨花は屋敷を下がる日を予め兄には知らせておいた。その直前まで家にいたのは、病気で寝たきりの父ソギョンのためだったに違いない。
梨花が帰ってくれば、もう安心だと出ていったのだ―。
「それは、どういうことなの。おばさん」
食いつかんばかりの勢いに、流石のおばさんも少し気圧された様子だ。
「私が訊ねたときには、海棠にはちゃんと話してあるからと言っていたんだけどねえ。早く行ってごらんよ。いつ今し方、うちに挨拶に来たから、急げば間に合うかもしれない」
今度は礼を言うのもそこそこに、梨花は方向転換をして走り出した。
つい今し方、おばさんの家に挨拶に行ったというのなら、梨花とは入れ違いになったのだろう。梨花は屋敷を下がる日を予め兄には知らせておいた。その直前まで家にいたのは、病気で寝たきりの父ソギョンのためだったに違いない。
梨花が帰ってくれば、もう安心だと出ていったのだ―。