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海棠花【ヘダンファ】~遠い約束~
第3章 運命の邂逅
両班の家ではそれが普通なのかもしれないが、思えば、実の父と母は同じ屋敷にいても、二人一緒にいる姿を見かけることはあまりなかった。その点、養父母はいつも何をするのも一緒だった。時には皿や鍋が飛び交うほどの凄まじい喧嘩をすることもあったが、それでも、いつも寄り添い合い、互いを労り合っていた。
六歳まで両班家の娘として育った梨花ではあったが、その後、庶民となって既に十年を数えている。今では実の両親を思い出すことも少なくなり、申し訳ないが、その容貌すら朧になってしまった。多感な人格形成期に庶民の娘として育った梨花は、どこかよそよそしさの漂っていた実の両親よりも、心から愛し合い、必要とし合っていた養父母のような夫婦に憧れていた。
いつか我が身も母ヨンオクのように、心から慕う男性と出逢いたいと願っていた。
六歳まで両班家の娘として育った梨花ではあったが、その後、庶民となって既に十年を数えている。今では実の両親を思い出すことも少なくなり、申し訳ないが、その容貌すら朧になってしまった。多感な人格形成期に庶民の娘として育った梨花は、どこかよそよそしさの漂っていた実の両親よりも、心から愛し合い、必要とし合っていた養父母のような夫婦に憧れていた。
いつか我が身も母ヨンオクのように、心から慕う男性と出逢いたいと願っていた。