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激情パラドックス
第7章 激情の果てに
七瀬と俺は、長いフライトが気にならないぐらい楽しく話を弾ませた。消灯して寝る時間になると、隣に七瀬が寝ていることを妙に意識してしまい、ドキドキがおさまらない。

(これ……、俺、惚れちゃった……ってやつか?)

もちろん股間も反応する。会ったばかりなのに、共通点が多く、近い距離にずっといる七瀬とのエロい妄想ばかりが先走って、自分を抑えようと必死だ。

(くそっ……、こんなの初めてだ……)

けど七瀬も傷心旅行ってことは、男と別れたばかりなんだ。男の俺はともかく、女はそうすぐに他の男に惚れることもないだろう……。パリの空港に着いたら七瀬とはおさらばだ。とりあえず連絡先だけでも聞かないと、いや、このままパリでの観光に誘ってみたらどうだ……?と、俺らしくもない行動について考えを巡らせていたら、睡魔に襲われ眠りに落ちてしまった。

結局そのまま、他愛もない話をしただけで、空港に到着した。

「じゃあね、楽しかったよ、大和。ありがとう」
スーツケースを拾い、このまま別れようとする七瀬に、俺は勇気を振り絞って言った。
「いや、あのさ……、一緒にパリ、回らない?」
「えっ……?」
「もちろん毎日じゃなくてもいいんだ……、一日だけでもいいから……、ていうか俺、七瀬とこのまま別れるの嫌だから……っ」
心臓がバクバクしてる。顔も赤いだろう。なんだこの俺らしくない勢いは。自分が自分じゃないみたいだ。七瀬はびっくりした顔で俺を見ている。
「……うーん、それじゃ一人旅の意味、なくないかな……」
「う、うん……そう、だよな……。でもさ、パリにはお互い五泊するんだし、一日会うぐらい、よくない?」
必死だな俺。みっともないぐらい必死だ。けど、今が正念場だろ!?
「……いいよ、わかった。じゃあ、そうだな……、明後日は?」
「やった……!ありがとう」
再会の約束をした俺達は、それぞれのホテルへと向かった。俺の携帯は教えたが、七瀬の連絡先を聞いたわけじゃないから、本当に来てくれるのかという不安は残った。
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