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激情パラドックス
第7章 激情の果てに
何かを求めれば何かを失う――。
佐久間の言葉が胸に響いた。自分から求めることがなかった俺は、与えられた環境にあぐらをかいていただけだったんだな。もう少し自分から動くことがきっと必要なんだ……。
「そうだな、めんどくせーけどいろいろ考えてみるわ。ありがとな佐久間」
それから俺は、一週間の休暇をもらい、一人旅に出ることを決めた。いわゆる傷心旅行ってやつだろう。とにかく気分転換が必要だと思った。貯金も結構あったんで、思い切って海外にした。行き先はパリだ。めんどくさがりの俺にとっては、稀に見る行動力だ。
「失礼します」
「あ、はい」
行きの飛行機で隣り合わせたのは、なかなか可愛い女性だった。
「パリまでですか?」
「あ、はい」
離陸すると、その女性は気さくに話しかけてきた。
「お仕事……ですか?」
「いえ、一人旅です」
「あ……私もです」
「へぇ、女性の一人旅ですか。何か目的でも?」
「えーと……、傷心旅行です、って、こんなこと初対面の人に言ったらおかしいですかね」
はにかんでそう微笑む彼女の姿が、俺の胸を射抜く。マジかよ……。
「あのー、実は俺も……傷心旅行なんです、って言っても信じてもらえないかな、偶然過ぎて」
「ほんとですか!?すごい、奇遇ですね!パリまでいろいろお話しませんか?」
「はい……。俺、松原大和、28です。レストランで働いてます」
なんだか緊張する。こんな出会いってあるのか。
「あ、同い年!なんか嬉しい。わたしは山野七瀬といいます。OLです」
「なんだタメか。じゃあ敬語やめようか」
「うん!なんて呼べばいいかな……松原さん?」
「大和って呼んで。俺も七瀬って呼んでいい?」
「いいよ!あー良かったー、一人旅なんて初めてで心細くて……!」
「でも、しないではいられないぐらい人生の岐路に立たされてた……でしょ?」
「うんうん、そう!大和も同じ?」
「同じ。あー俺も良かった、話し相手できて」
佐久間の言葉が胸に響いた。自分から求めることがなかった俺は、与えられた環境にあぐらをかいていただけだったんだな。もう少し自分から動くことがきっと必要なんだ……。
「そうだな、めんどくせーけどいろいろ考えてみるわ。ありがとな佐久間」
それから俺は、一週間の休暇をもらい、一人旅に出ることを決めた。いわゆる傷心旅行ってやつだろう。とにかく気分転換が必要だと思った。貯金も結構あったんで、思い切って海外にした。行き先はパリだ。めんどくさがりの俺にとっては、稀に見る行動力だ。
「失礼します」
「あ、はい」
行きの飛行機で隣り合わせたのは、なかなか可愛い女性だった。
「パリまでですか?」
「あ、はい」
離陸すると、その女性は気さくに話しかけてきた。
「お仕事……ですか?」
「いえ、一人旅です」
「あ……私もです」
「へぇ、女性の一人旅ですか。何か目的でも?」
「えーと……、傷心旅行です、って、こんなこと初対面の人に言ったらおかしいですかね」
はにかんでそう微笑む彼女の姿が、俺の胸を射抜く。マジかよ……。
「あのー、実は俺も……傷心旅行なんです、って言っても信じてもらえないかな、偶然過ぎて」
「ほんとですか!?すごい、奇遇ですね!パリまでいろいろお話しませんか?」
「はい……。俺、松原大和、28です。レストランで働いてます」
なんだか緊張する。こんな出会いってあるのか。
「あ、同い年!なんか嬉しい。わたしは山野七瀬といいます。OLです」
「なんだタメか。じゃあ敬語やめようか」
「うん!なんて呼べばいいかな……松原さん?」
「大和って呼んで。俺も七瀬って呼んでいい?」
「いいよ!あー良かったー、一人旅なんて初めてで心細くて……!」
「でも、しないではいられないぐらい人生の岐路に立たされてた……でしょ?」
「うんうん、そう!大和も同じ?」
「同じ。あー俺も良かった、話し相手できて」