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激情パラドックス
第8章 恋の都パリ
パリの街並みは異国情緒に溢れ、見るものすべてが俺を魅了した。カフェオレもクロワッサンも美味い。職業柄、いくつかのレストランをチェックしたり、ワインを楽しんだり、美術館も回った。

そしていよいよ、七瀬との再会の日……、三日目がやってきた。待ち合わせは俺の宿泊しているホテルのロビー。七瀬がどこに泊まっているのかも知らない。ガードが堅いその様子がまた、いい。

「あ……七瀬!ここ」
「大和!なんか久しぶりって感じがする!」
「よかった、来ないかもって思ってた」
「そんな、約束したんだからちゃんと来るよ」

七瀬は無事、やってきた。俺達はカフェに行ったり、蚤の市に行ったりして楽しく過ごした。一緒にいればいるほど、俺は七瀬に惹かれた。こんな風に胸の奥がかき乱されるような、締め付けられるような一方的な想いを、かつて味わったことはなかった。

ディナーの時、ワインを飲んだ七瀬が過去に触れ始めた。
「傷心旅行って言ったでしょ。私ね、不倫してたんだ。でも相手が独身だと思ってたの。騙されてたってやつだよね」
「マジか……!そんな昼ドラみたいな話って本当にあるんだな」
「気付かなかった私もバカだったんだよね。でももうこりごりなの……ちょっと男性不信気味な感じになっちゃって」
可愛い顔が少し翳る。
「そっか……」

「でもね、大和は話しやすいんだよね……」
「何それ、俺、男として見られてないってこと?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど~!なんだろう、女慣れしてるでしょー?」
コロコロ、と笑う七瀬が可愛い。
「女慣れねぇ……。まぁそうとも言うかもしれないけどさ……、俺は不倫じゃないけど、結構ひどいふられ方が続いてね。今思えば身から出た錆って言うかさ、好かれて当たり前みたいな感じで生きてきちゃってたわけ」
「うんうん、だってかっこいいもんね」
お世辞でも七瀬にそんな風に言ってもらえると嬉しくて小躍りしそうだ。

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