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第10章 それぞれの思惑　想い　念い

気まずい「もう少しなので急ぎますね」とりあえず必死に　課長も黙ったまま

「終わりました　席はずします」私が言うと　海外事業部に君を行かすんじゃなかった　苦笑い
「後何回かで終わりです　そしたら地獄の書類漬けですよ」笑う私に　そうだなって笑ってくれる　
なんだか複雑な顔　訳がわからない


「榊です」私が言うと「やっと来たね」キラキラ過ぎる笑顔　なんか面倒

仕事は色々な通訳と翻訳　ルカさんは違う仕事みたい

側をウロウロするマティアスさんにうんざりしながらなんとか終わり
「終わりました」さぁ帰れる　其処に急に私を呼ぶ声　誰？中村専務？
「ちょっと話良いかな」断れない感じ　頷くと歩き出し会議室になぜかマティアスさんまで


「榊さん　突然なんだかフランス支社に興味はないかね　フランス語が堪能だし海外事業部として君を推薦したいんだ」はぁ？経理なんだけど

「僕が推薦したんだ　一緒に仕事しよう」待ってよ！頭がパニックなんだけど
「有り難いお話ですが　「よく考えてくれ　来週答えを聞くよ　異例の大抜擢なんだから」威圧的な言葉
「宜しく」マティアスさんの笑顔に苛立ちしかない
話は終わりとばかりに二人が出て行き　訳がわからない私が残される　課長の態度が今納得できた

席に戻り残りの仕事を片付ける　チラチラ此方を見る課長にどうして良いかわからない
「お先に失礼します」もう無理

ピアノ弾きたいな　心がザワザワする

家に帰るとしゅうせいさんがリビングに
「お帰り」綺麗な笑顔「少し出掛けて来ますね」精一杯の作り笑い
「どうしたの？」心配顔　仕方ないドライブしよう

軽く着替えて車に
あそこなら　誰も居ないかも

ゆっくり門を開けて　深夜の学校みたいな不気味さ　だけど今は怖くない

一人だけ　だけど電気が自動で点灯　なんだかワクワクしてきた

ゆっくりピアノの前に　小さく礼
座って鍵盤に指を滑らす　パニックな心の不安を炙り出す　夢中で音を探る　音譜と旋律が今は全て

「指を痛めるぞ　可愛いピアニスト　音が震えてる　嫉妬深い王子様と喧嘩したか？俺は大歓迎だけどな」？！宮坂さんがゆっくり歩いてきた
逃げ出す私を簡単に捕まえてぎゅって「ヤバイなぁ細くて折れそうなのにスタイル抜擢　胸でけぇな　うまそうな身体」暴れる私なんてお構い無し
「離して！」びくともしない「止めろ　嫌がってるだろ」