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花咲く夜に
第6章 決心
夕飯の後片付けをしていると、貴斗がバタバタと帰って来た。

めぐるはギクリとする。


昭恵は、
そんなめぐるを観察している。

貴斗は郵便局勤めの日は遅くなるため、
夕飯は1人あとで食べる様になっていた。


『ただいま〜〜〜。
はい、お土産』


『ありゃ、何だよ珍しいね』
白い箱を台所のテーブルに置く。

『好きなほう、
取ってね。
俺の夕飯は………』


『冷蔵庫だよ』めぐるが答える。
『今入れたとこだから』


貴斗とめぐるの視線が合った。。

貴斗は嬉しくなり、笑顔になる。


めぐるもホッとしたように顔を綻ばせた。
空気が緩くほどけた。


『着替えてくるよ』
貴斗はジャケットを脱ぎながら2階へ上がった。


部屋着のスウェットに着替えて、
台所へ向かう。


『だけどアタシはねぇ………』
『昭恵さんの好きなほうで』

女性2人は向かい合い、
箱を覗きながら何やら揉めていた。


『何揉めてんの?』

『いや、
アタシは栗のがめぐるちゃんに良いかと思って』

『私はどれでも良いんですよ。
何でも好きですから』


モンブラン・チョコ・紅茶シフォンと3つ(人数分)買ってきた。
『はぁ〜〜〜、迷うわねぇ』と昭恵。
『……迷うことか?
何、祖母さんは栗以外が良いの?んじゃ紅茶シフォンな。
めぐるチョコ。
俺モンブラン』
テキパキと分けた。



昭恵は、
めぐるに気を遣って譲ろうとしたのだ。
めぐるも遠慮して選ばないという〔善意のすれ違い〕を貴斗が解決した。


お茶を淹れて、
3人でケーキを食べる。
貴斗は夕飯も一緒に食べていた。


『美味しい……』
『美味しいねぇ、こりゃ』
めぐるも昭恵も甘さを味わう。
『しかしタカが土産なんて珍しい。
何かあったのかい?』
昭恵が意味深な目を貴斗に向けた。
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