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花咲く夜に
第6章 決心
『…何もないよ。
買いたくなったの!』


(ほほう……
めぐるちゃんへ機嫌取りかね……)
『さ、
アタシは部屋で休むね。
足を伸ばしたいんだ』
ケーキのお皿とお茶の湯飲みを持ち、
昭恵は退散した。



「『……………』」

2人になると少し気まずい。
貴斗は『一口くれ』
とめぐるのチョコケーキを削る。

『あっ、ズルい。
私もモンブラン一口もらうっ』

『あっ!
お前……栗を取ったな!
一番良いトコを……』

『美味しい……栗……』

『甘いものも好きなんだな』
『うん。』モクモクと口を動かして答えるめぐる。


『美味いよ、
いつも。メシ。
この煮付けめぐるがしただろ』

『……分かるの?』

『当たり前だ』

『あ〜〜〜まだまだだなぁ……』めぐるはガックリと首(こうべ)を垂れた。

『え、何でだよ』
『昭恵さんの味に追い付きたいのに』
『いいよそんなの…
味付けが違うから美味いんじゃないか』
『……そっか』


『………昨日から、
イライラして悪かった』

『…………わ、私も……………』

どうしよう。
言わなきゃ……
何から話せば良いんだろう。
『す、好き………』

『………へ』

『私は、貴斗が……好きなの』
結局それしか言葉にならなかった。
いくら好きで愛しくても、本人が打ち明けないのに傷を抉る真似は出来ない。
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