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花咲く夜に
第8章 旅立
『えっ………
1ヶ月かい??』


起きていたらしい昭恵は、目を見開いて紙を手にした。

老眼鏡をかけて貴斗の字を見つめた。



『………1ヶ月もって……やはり東京でしょうか?



『………あんのバカ孫……………
せめて何処に行くか面と向かって言え!』
昭恵が吐き捨てるように言うのでめぐるはビクッとした。


『あ、
めぐるちゃんごめんごめん。
大丈夫だって書いてあるねぇ……
ちょっと待ってみるかい?心配だけんど…』


『………えっと………
待つ……しかないんでしょうね……スマホが通じませんし』


『とりあえずだ。
変な事はしないと書いてあるんだし。
仕事をしようじゃないか』

昭恵は毅然とそう言い放った。


めぐるは混乱しつつも…………
いつも通りに牛舎に向かい、牛たちの健康確認をした。
糞を掃いて片付ける。




――昼過ぎ。
小雨がだらだら続くなか休憩の後でめぐるは数回貴斗のスマホにTELをしてみた。

朝と同じ………
コール音が鳴ったあと、
切れてしまう。


メールをしてみた。
〔貴斗?
何処にいるの?〕

それも、
夕方になっても返信がなかった………
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