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花咲く夜に
第8章 旅立
―――かくて、
葛城宅の座敷間には優・美園夫婦、拓海・母親子が並んで座ることになった。
『めぐるがお世話になりまして……』
母・恭子は昭恵に深々と頭を下げ、
優&美園にも『ご迷惑をかけたようで、本当に申し訳ありません』と挨拶する。
美園が『以前、
わたしもめぐるさんに助けられたんです。
だから、何かお返ししなきゃと思って』
と言う。
あの豪雨の夜の出来事だ。
『しかし………
何で連絡が返ってこないんですかね??アイツそんなルーズなヤツじゃないのになぁ』
優が腕を組む。
『姉ちゃんの妊娠を知って逃げたんじゃないよね?』拓海は怒っているようで、
いつになく険のある言い方だ。
『逃げたりはしない。
あの子………貴斗なりに考えがあるんだよ、多分』
昭恵はムッとして返す。
孫のことを〔逃げた〕と言われて憤ったようだ。
『でもねぇ、
娘も不安ですし………
連絡が無いのは非常識かと思いますわよ』
母・恭子も不満を洩らす。
『………まさか、事故とか??』
美園がハッとした顔で言う。
(えっ……………)
めぐるは頭を殴られたようなショックを受けた。
(そっか……………
自分の事でいっぱいいっぱいだし、信じてたけど………その可能性だってあるんだわ)
『でもそうなら警察か消防から連絡あるんじゃん?』拓海が言う。
『あ、そうだな。
そりゃそうだ……』と優。(あ、そうか…)めぐるもホッとした。
『じゃあ本当に連絡返さないだけなんですよね?』
詰め寄り口調の母。