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花咲く夜に
第8章 旅立
『貴斗さん。
めぐるは真面目な子です。
遠慮をし過ぎたり、
少しズレてるところもあるけれど…
今のあなたのお話の通り、私はめぐるをただ大事だと思って育ててきたの。
拓海に対する気持ちと全く変わらない。
―――めぐるを、
よろしく頼みます』

恭子が頭を下げる。


『………おい、貴斗』
拓海が横から口を開いた。『一つ約束してほしい』


貴斗は頭を下げたまま、
じっと聞いている。


『めぐるだけ見ててくれ。今以上に。
悲しませたり、
裏切ったりしたら………
許さない。
今回泣かしたのだって、
俺は殴りたいくらい腹立つ。だけどめぐるが悲しむから我慢する。
だからその分大切に大切にしてくれ。
俺のぶ………』
俺のぶんまで、
と言いかけて口をつぐむ。
『俺……は、見張っててやるからな?
何かあったら一瞬ですっ飛んできてやる』



『分かった。
大切にする。
約束するよ』




めぐるは、隣で貴斗が母さんと拓海に頭を下げる姿を見ていた。

貴斗の横に座り、
母・恭子に向かってお辞儀をする。

『お母さん。
私、頑張ります………
貴斗さんと2人で』

涙が滲んで鼻声になる。


『……しっかりね!
めぐる。
頼ったり助けてもらったりすることを、罪悪に感じないで』


めぐるは顔を上げた。

穏やかな養母の表情。

『人は繋がって生きてるわ。
必ず、誰かと。
その中で頼ったり助けてもらうことは必然なのよ』


『………はい』
ぐすっ、と鼻を啜る。
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