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花咲く夜に
第8章 旅立


―――――――――――

『いたたたた!!
ごめん!本当に悪かったって!』


葛城貴斗は、
自宅に帰るなり祖母・昭恵に箒で叩かれた。
優に頭を小突かれ、
拓海に膝小僧を蹴られた。


『―――本当にすみませんでした』

面々の前で正座をし、
深々と頭を下げる。



『………はぁ………
で、
実の父親とやらは亡くなっちゃったんだな』
優が肩を落とした。


『見届けたくて。
自分の実の父親っつっても実感湧かないし、
なら最期くらい……
顔くらい見ておこうかなと』
貴斗は語る。


『貴斗さんはご家族に名乗ったの?』
恭子が訊ねる。


『いえ。
再婚して家庭があったんで……
名乗ると拗れちゃうんじゃないかなと思って、
父親が1人で居る時に病室に入って話しかけてみました。

その後3日くらい経って急変して。
昏睡状態が続いたあと、
逝ったんです』



『……スマホ壊れる前も連絡入れなかったのは何で?』
今度は拓海が訊く。


『それは………
勝手だけど、
自分の血のことで葛藤してた。
何がしたいのかも分からないまま、とりあえず東京の病院に向かったんだ。顔だけ見ようと思って初めは。………〔確認を済ませたら〕ってのは、見届けたかったんだ。実の父親とやらの最期を』




『その葛藤は………?
解けたの?』
めぐるが訊ねた。



貴斗はじっとめぐるの目を見た。

『………考えたんだ。
血って、あんまり重要じゃないんじゃないかなって。
俺はこうやって祖母さんに育ててもらって元気に生きてる。実際、実の父親ってヒトに会っても実感は無かったし…
それに………
めぐ……めぐるさんと出逢ってから分かった。

めぐるは他人なんだ。
血も違う上に、環境や考え方……見てきたもの・してきたこと全部違う。
なのに、こんなに大事に思う。
命まで宿ってる。

なら、血ってものは繋がってても繋がってなくても気持ち次第なんじゃないかと思った。』



貴斗はそう言うと、
正座をし直した。
そして恭子と拓海に向かい姿勢を正す。

『……籍を入れる前に命を授かって、至らない部分もまだまだあります。申し訳ありませんでした。
めぐるさんを…大事にします。
どうか、一緒にならせてください』

貴斗は気持ちを込めて頭を下げた。











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