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花咲く夜に
第2章 移転
『あのう、
雇って頂けるのなら1つお願いがあるんですが』


『なんだよ』


『住む場所も与えてくれませんかね?』


『………あ、そうか。』
(そういや1人暮らしだった上にアパート引き払ったっつってたな。
まーいいか、部屋ならあるし)

『いいよ。
2階に1部屋余ってる』


『……ありがとうございます!荷物、1度取りに帰っていいですか。
預けてるんで、宿に』


『宿?』


『死のうと思ったし、
迷惑がかかるから荷物は纏めてN駅に預けています』

N駅は最寄りのいちばん大きな(もちろん地元では、の意)
駅だ。


めぐるは本当に死ぬ予定だったのだ。
遺書もどきの手紙も、
後から伯父宅に送付できるように手配しておいた。

アパートのデスクだと、
きっと迷惑がかかるし………

引き払いは済ませておいた。
拓海にも、
引き払ったことすら知らせていない。


(何だか変な流れだけれど……、
この人に恩を返してから出ていこう)

めぐるは少しだけここに居て、
暫くしたら出よう。


そう考えていた。
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