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魂喰い姫〜コンクイヒメ〜
第3章 取り戻し姫
知らないうちに、
握り締めた拳がワナワナ震えていた。



(…………………私があの年の頃には…………)


飛び交う爆弾。

戦車が押し寄せてくる地震のような地響き。

泣き喚く弟・妹たちを抱え、
火の玉に背を向けた。

背負っていた一番下の妹は、
丘の壕に入ると首から上がもげていた。



_____不意にフラッシュバックした、
哀しみの日々の記憶。


もちろん、その頃に笑ったことなどない。




ばあやは胸をかきむしった。
ドレスが嬉しく、同じくらい憎い!
『はっ、はっ……………ヒッ………』
呼吸が浅く速くなる。



皆が朗らかにダンスするなか、
扉を引いて廊下へと飛び出した。



___暗い廊下を歩くと落ち着いてきたばあや。



『一体どうしたことか…………。
姫様と自分を比べても無意味なのに』

言い聞かせるように独りごち、
窓際にあった椅子に腰を置く。




『あれ?
_____どうされたのですか?』

急に若々しい声がして、
ばあやはビクッと体を揺らした。

『あっ、ああ……………
41の国の___』
暗がりでハッキリ見えないが、
あの王子様だ。
すると相手はクスクス笑い、
『違いますよ。
わたくしは、41の国の王子の弟です。
兄が継承者です』
月明かりが僅かに差し込む。


その明かりは、
すうっと〔王子の弟〕の顔を照らした。



二重の大きな瞳。
なるほど、よく似ているが別人だ。
目はグレーがかっていた。


髪の長さも少し違う。
この弟の髪は長い。


それに、何となく………………………………

『退屈でしょ?
あのような茶番より、こちらのがずっと気持ち良い』
クックッと笑うと、
パイプを取り出し吸った。



独特の匂いが広がる。

あらゆる国が禁止協定を結んでいる、
麻薬の葉。

すり鉢で擦り、パイプに入れて吸うのだ。


毒性はないが、
依存症の高さと使用時の脳の麻痺具合が危険視され、
全ての国が禁止をしていた。



『いけません!!』ばあやはパイプを奪い、
床に投げた。

〔王子の弟〕は、
白けた目でばあやを見る。

『何故いけないの?
わたくしも居場所が欲しい。
____兄、兄、兄………
光を浴びるのはいつも兄だ。

たった1年早く生まれただけで。
わたくしは権威もなければ教育すらして貰えないんですよ…………』



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