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魂喰い姫〜コンクイヒメ〜
第3章 取り戻し姫
ばあやは言葉を失った。


月明かりのなか、
少年は涙をぽろりと流していた。


『_____あなた様は___、
じゅうぶん魅力的でございます』

ばあやは少年を抱き締めた。


麻薬の効用か、
少年の瞳が虚ろになっている。


『魅力的…………?
ならば、証明してみて下さい…………』



ばあやは少年を椅子に座らせた。



ベルトに手をかけ、
ズボンを脱がせてゆく。


無我夢中に。


白みが強い細い根が立っていた。

ばあやは口に含み、
頭を前後に揺らした。




〔光を浴びるのは、
姫様、姫様、姫様_______〕





ばあやの頭に響く声。


50年まえ、
壕で兵隊に奪われた操。


誰を恨む術も知らず、
ただ宮仕えをして生きてきた。
生きるために、
姫様に仕えた。





クチュクチュと唾液を混ぜる。

男の香り、味。





少年の哀しみが根から伝わる。


〔権威もなければ、教育すらして貰えないんですよ______〕




私もだ。


ばあやは思う。


私も同じ。


時代が違うだけで、哀しみの色は同じグレーだった。



そう感じ、
夢中で舌を使う。


瑞々しさの欠片もない、退廃しきった少年。

その少年の手がばあやのドレスを撫でる。


ばあやは泣いていた。
ドレスがばあやを年頃の娘に戻す。






泣きながら、
根を吸いこむ。



取り戻すように、
奪うように。



宴を楽しむ一室とは別の場所で、
ばあやは少年の根を吸い続けた。















〔終わり〕
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