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第1章 その1

（着物を着たら、さぞ美しいだろうなぁ）
和風美人だ。

『では、参りましょうか』ニコッと微笑み、
俺の手を取った。

（うわっ………）
ドキドキして顔から火が出そうだ。
だが、不思議に酷く緊張はせず寧ろ穏やかにときめいた。


ホテルに入り、
スリッパを用意してくれる。入り口部分は広く、老舗の高級旅館のような内装。従業員も女性が1人、ニコニコこちらに笑いかけてPCを叩いているだけだ。
『チェックインをお願いしますね』促されチェックインした。


『田川さま、
以前お電話で申し上げた念書はどうされますか？』
と訊ねられたが、
俺は何となく……裏はないと直感で感じた。
俺の勘など微妙なのだけれど。
『いえ、雰囲気もいいし…大丈夫です、構いません』

佐藤ゆりは『優しいかたですのね。
では、お部屋を一緒に選びましょう』とレストランのメニューのような冊子を持ってきた。