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人妻温泉
第3章 その3
『……あ、お目覚めですか?おはようございます』
振り返ってニッコリ笑う。

『ゆりさん、
熱は?もう大丈夫なのですか?』

『ええ、解熱剤が効いたみたいでもうすっかり!
本当に、ご迷惑をおかけしました』

と頭を下げた。


『楽になったのなら良かった。
でも、まだ完全ではないだろうし…無理はしないで下さいよ』


『はい。
田川さまの仰るとおりです。気をつけながら、少しずつ業務をします。
せめてお料理でお礼をと考えました。座ってお待ちいただけますか?』


『えっ………』
ゆりの手料理が食べれるとは。


俺は厚意を受けとることにして、
料理が出来上がるまで洗面を済ませてリビングルームのソファーにて待つ。


(あ……味噌汁のいい匂い……)

まるで、奥さんが料理しているのを待っているようだ。
嬉しすぎる。


『お待たせしました。
こんなものしか出来ませんが』
トレーに乗っているのは、味噌汁・白ご飯・だし巻き玉子。

『こんなもの、だなんて………とんでもない』
俺は感動して震えた……


味噌汁は豆腐と揚げとネギが入っており、
お握りも塩味がちょうどよい。
だし巻き玉子に至っては味がしっかり付いていて……俺はバクバクと食べた。

『ゆりさんは?
食欲は未だ無いですかね』

『お気遣いありがとう存じます。スタッフは、
客室で食事できないんですのよ(苦笑)。
当旅館は〔人妻温泉〕ですので………
でも。昨日のお叱りは大変嬉しく感じました』

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