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君が泣かないためならば
第5章 っ
そんな時、食堂の入口が騒がしくなったけど
森川兄弟の話で盛り上がっていた私たちは注意を向けなかった。
「あぁ。いた」
遠くから聞こえるその声に
気持ちよりも先に心臓が打った。
ドクン―――
自分の心臓の音にびっくりする。
「原田さん」
私の名字を呼ぶその声に
心臓が波打った原因を脳が理解して
さらに心臓が狂ったように動き出す。
私はその声の方に振り向く勇気は、ない。
「原田さん」
私が聞こえていないと思ったのか、その声はもう一度私の名前を呼ぶ。
その声に紗江子ちゃんが顔をあげて言葉を失った。
それでも、思わずこぼれ出た言葉に私自身も血の気が引いた。
「重田さん」
ああ、やっぱり。
紗江子ちゃんは、私の思った通りの人の名を―――口にした。
森川兄弟の話で盛り上がっていた私たちは注意を向けなかった。
「あぁ。いた」
遠くから聞こえるその声に
気持ちよりも先に心臓が打った。
ドクン―――
自分の心臓の音にびっくりする。
「原田さん」
私の名字を呼ぶその声に
心臓が波打った原因を脳が理解して
さらに心臓が狂ったように動き出す。
私はその声の方に振り向く勇気は、ない。
「原田さん」
私が聞こえていないと思ったのか、その声はもう一度私の名前を呼ぶ。
その声に紗江子ちゃんが顔をあげて言葉を失った。
それでも、思わずこぼれ出た言葉に私自身も血の気が引いた。
「重田さん」
ああ、やっぱり。
紗江子ちゃんは、私の思った通りの人の名を―――口にした。