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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第5章 原点
優しい口調に戻った彼は、まるでセックスがヘタと勘違いしている男子みたいに落ち込んでいるのだろうか、私にそう謝罪した。
「そんなことないですよ。すごく、ドキドキしましたから……。それは今もですけど……」
だからそう言葉を紡いで、最後にもう一つだけお願いを口にした。
「あの、あなたのこと、ずっと八反田さんだと思ってても、いいですよね?」
このお願いはさすがに嫌がられると思った。
このひと私のファンだもの。
ここまでしておいて、別人として愛されるのは普通嫌なんじゃないかと思った。
私だったら、やっぱり自分の名前で呼んで欲しい。
好きな人にみゆりって呼んで欲しい。
なほこ、なんて呼んで欲しくない。
間違って愛されたら……。
昨日の私みたいに、やっぱり寂しいよ。
だけれどこの人はいとも容易く答えてみせた。
「ええ、ご自由にどうぞ」
一体どういうつもりか分からなかったけれど、さっきまでの官能的な息遣いとは違う、語尾の穏やかな調子はやっぱり耳心地が良かった。
安心感がある。
満たされた肉体のあと、取り残されていた精神まで満たしてくれるような安堵で包んでくれる。
「ごめん、そろそろ時間切れ。だからまた掛けるわ。おやすみ、みゆり。可愛かったよ、ありがとう」
また一方的に電話を切られた。
浴槽に一つ、水滴の落ちる音がした。
やがて私の中にこれまでにない楽しみが波紋の如く生まれていく。
一人で慰めるだけの虚しい日常。
愛しい人と絶対に結ばれない空白から解放されたような絶大なる悦び。
恋人が出来たみたいな、なんだか切ない想いが全身をなぞり上げた。
えっちな時間は終わったはずなのに。
なんでかな?
ワレメ、また濡れちゃってる……。
「……お風呂、はいりなおそ」
私は冷めてしまった体を温めようと再びぬくもりに浸かった。
お風呂の湯と同じくらい暖かな、先程の優しい吐息を思い出しながら……。
「そんなことないですよ。すごく、ドキドキしましたから……。それは今もですけど……」
だからそう言葉を紡いで、最後にもう一つだけお願いを口にした。
「あの、あなたのこと、ずっと八反田さんだと思ってても、いいですよね?」
このお願いはさすがに嫌がられると思った。
このひと私のファンだもの。
ここまでしておいて、別人として愛されるのは普通嫌なんじゃないかと思った。
私だったら、やっぱり自分の名前で呼んで欲しい。
好きな人にみゆりって呼んで欲しい。
なほこ、なんて呼んで欲しくない。
間違って愛されたら……。
昨日の私みたいに、やっぱり寂しいよ。
だけれどこの人はいとも容易く答えてみせた。
「ええ、ご自由にどうぞ」
一体どういうつもりか分からなかったけれど、さっきまでの官能的な息遣いとは違う、語尾の穏やかな調子はやっぱり耳心地が良かった。
安心感がある。
満たされた肉体のあと、取り残されていた精神まで満たしてくれるような安堵で包んでくれる。
「ごめん、そろそろ時間切れ。だからまた掛けるわ。おやすみ、みゆり。可愛かったよ、ありがとう」
また一方的に電話を切られた。
浴槽に一つ、水滴の落ちる音がした。
やがて私の中にこれまでにない楽しみが波紋の如く生まれていく。
一人で慰めるだけの虚しい日常。
愛しい人と絶対に結ばれない空白から解放されたような絶大なる悦び。
恋人が出来たみたいな、なんだか切ない想いが全身をなぞり上げた。
えっちな時間は終わったはずなのに。
なんでかな?
ワレメ、また濡れちゃってる……。
「……お風呂、はいりなおそ」
私は冷めてしまった体を温めようと再びぬくもりに浸かった。
お風呂の湯と同じくらい暖かな、先程の優しい吐息を思い出しながら……。