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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第9章 それは禁断の果実

顎先に指をかけられ、最後のキスだと察した。
私は黙って目を瞑る。
唇に別離の涙の味が広がった。
「……これで、今日限りだ。今まで楽しかった。嘘ついててごめんな」
私は八反田さんにすがりついた。
けれどもういつものように彼が私の頭を撫でてくれることはなかった。
温もりが離れていく。
「行くぞ城田」
「ででで、でも……みゆりちゃん、泣いて……」
「いいから行くぞ」
そしてバリアフリーのレール扉が開く音がして、入れ替わりに入ってきたのは早坂さんだった。
「あれぇ!?八反田さんと城田さんじゃないっ!先に面会来てるなら私も誘ってよぉ……て、なによこれ!えっ!?ちょっと……みゆり!?」
「違うの……。早坂さん……これは……」
「………おい……なんで、こんな姿で泣いて……」
「こ、これは……ちがくて……2人は関係なくて……」
「なくないだろ!ふざけんなお前ら!ちょっと待てよコラァッ!!」
お見舞い用のフルーツバスケット。
彼女は……いや、彼はそれを放り出して2人を追いかけようとした。
私がそれを止めると、乱れた姿の私を一陣の風のように抱きしめてくれた。
ころころと林檎が一つ、転がっていく。
「私……八反田さんが好きなの……。でもね……今ふられちゃったんだ……」
私が呟くと、早坂さんは私を頭ごと抱えた。
「……どうして……?ねぇ……?あんな奴好きになったの……?俺の方がよっぽど……そばに居たじゃないか……」
「早坂さんっ!?……ンッ……!!」
それはまるで突如正体を現した禁断の果実。
予期もしていなかった終わりの言葉と共に、私の恋は更に彼を追い求めていた。
紅い実を手にしてしまったイブと同じように。
電話の向こうのあの人ーー八反田さん本人を……。
「俺はみゆりが好きだよ……」
私は黙って目を瞑る。
唇に別離の涙の味が広がった。
「……これで、今日限りだ。今まで楽しかった。嘘ついててごめんな」
私は八反田さんにすがりついた。
けれどもういつものように彼が私の頭を撫でてくれることはなかった。
温もりが離れていく。
「行くぞ城田」
「ででで、でも……みゆりちゃん、泣いて……」
「いいから行くぞ」
そしてバリアフリーのレール扉が開く音がして、入れ替わりに入ってきたのは早坂さんだった。
「あれぇ!?八反田さんと城田さんじゃないっ!先に面会来てるなら私も誘ってよぉ……て、なによこれ!えっ!?ちょっと……みゆり!?」
「違うの……。早坂さん……これは……」
「………おい……なんで、こんな姿で泣いて……」
「こ、これは……ちがくて……2人は関係なくて……」
「なくないだろ!ふざけんなお前ら!ちょっと待てよコラァッ!!」
お見舞い用のフルーツバスケット。
彼女は……いや、彼はそれを放り出して2人を追いかけようとした。
私がそれを止めると、乱れた姿の私を一陣の風のように抱きしめてくれた。
ころころと林檎が一つ、転がっていく。
「私……八反田さんが好きなの……。でもね……今ふられちゃったんだ……」
私が呟くと、早坂さんは私を頭ごと抱えた。
「……どうして……?ねぇ……?あんな奴好きになったの……?俺の方がよっぽど……そばに居たじゃないか……」
「早坂さんっ!?……ンッ……!!」
それはまるで突如正体を現した禁断の果実。
予期もしていなかった終わりの言葉と共に、私の恋は更に彼を追い求めていた。
紅い実を手にしてしまったイブと同じように。
電話の向こうのあの人ーー八反田さん本人を……。
「俺はみゆりが好きだよ……」

