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第1章 はじめに

二川はカウンセラーを予約制にしてはどうかと再三に渡って意見を述べたが、自動車学校は利益に目が眩むようになっていた。

職員や指導員は今までに有給休暇や賞与を得たことがなく、臨時のパートで高額のカウンセラーやガードマンに予算を削られるのではないかと思っていたことも後に判明する。


生徒が指導員を予約指名する指名制は好評だったが、指導員にはメンタルの下がる傾向も見られ、男女問わず人気の指導員であった小田は二川を会社に紹介した責任も感じ、率先して不良生徒の指導にあたった。

小田は事件という地下への階段へ着々と進んでいたのだが、知る良しもなかった。

彼はいつしか不良生徒のみを指導する教官になっていたのだ。