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短編 阿吽(あうん)
第5章 安心
ある時、食後に何げにテレビを観ていたら、彼がこんなことを言った。
「ねぇ、例えば俺が、見た目の損傷が酷くて、顔が認識出来なくても、その日着てた下着や服で、すぐ、俺って判るでしょ?」
って。
「判るよ。下着も服も、身体も全部。どうしたの?」
「じゃあ、安心だ。」
テレビでは、震災で身元不明の遺体から、似顔絵を制作し、衣類や身に付けている物などを絵や写真を添え、近隣などに配布していた。
2割前後の確率で、似顔絵から身元が判明しているらしい。
彼は、この報道を観ながら聞いたのだった。
「ねぇ、例えば俺が、見た目の損傷が酷くて、顔が認識出来なくても、その日着てた下着や服で、すぐ、俺って判るでしょ?」
って。
「判るよ。下着も服も、身体も全部。どうしたの?」
「じゃあ、安心だ。」
テレビでは、震災で身元不明の遺体から、似顔絵を制作し、衣類や身に付けている物などを絵や写真を添え、近隣などに配布していた。
2割前後の確率で、似顔絵から身元が判明しているらしい。
彼は、この報道を観ながら聞いたのだった。