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いろごとプリズム
第4章 魔法使い花見川
「うーん、ちょっと足りないな」
花見川はサーヤを抱き寄せ、顔を近付けて言った。
「もっとキスさせてください」
答える間もなく、唇が重なった。熱く長いそのキスは、サーヤにとって初めて外でするキスだった。
(こ、こんなところで……!人が見てる……!早く……、離れて……っ!)
サーヤの願いとは裏腹に、花見川は舌を割り入れてくる。ねっとりと熱く甘いそのキスに、サーヤはすぐに身体が疼いてしまい、何も考えられなくなる。
(これも、魔法……!?やだ、身体の芯が……熱い……、感じちゃう……っ)
しばらくして離れた花見川は言った。
「先輩……、キスだけで感じちゃった?」
「ばっ……、そんなこと……っ!!だいたいやめてよこんなとこで……!」
どうしてこの人には見透かされているような気持ちになってしまうのだろう、これも魔法……?
「こんなとこだからイイんじゃない……。ふっ、まだまだ開発しがいがありそうだな……僕がたくさん気持ちよくさせてあげたい……」
「あ、あのねぇ!急にこういうことしちゃダメでしょっ」
「じゃあ急じゃなきゃいいの?キスさせて、って言えば、いいの?」
悪戯っ子のような顔をして上から見下ろす彼に調子が狂う。
「先輩、絶対書かせるからね、官能小説。ていうか今度僕が書いたの読ませてあげる」
「え……花見川くんが?書いた事あるの?」
まだ高校に入学したばかりなのに。という思いと、あの作品を書く彼の官能小説なら読んでみたいかも……という思いが入り混じる。
「あるよ。今度持ってくるね。読むだけで濡らしちゃったら最高だな」
「いい加減にしてよ……っ!もう、私帰るっ!」
「はいはい、また帰っちゃうんだね。じゃあ、また。ばいばーい」
手を振る花見川に振り向く事もなく、顔を真っ赤にしたままサーヤは帰っていった。