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第6章 小暮の誠実

「急いで答えを出して欲しくはないけど、俺のこともちょっと……片隅で考えてくれたら嬉しいなっていうか……、その、俺は……彼氏ができたって聞いて諦めようと思ってたんだけど、なんて言うか……、他の子は目に入らなくて」
誠実な小暮のあまりにも無骨な話がサーヤの胸を打つ。
「う、うん……」
「出来れば一緒の大学に行けたら嬉しいし……、高岡ともっと一緒の時間を持てたら……って、ああくそっ……、緊張してうまく言えない……っ」
真っ赤になってそう言う小暮に、サーヤは胸がときめいた。こんなにも純粋に自分だけを見ていてくれる人もいるのか……と、新鮮な気持ちになった。
「ありがとう小暮くん……。今、いろいろあって……、ちょっと考えさせてもらっても、いい？」
「えっ……！？俺、速攻でふられるかと思って覚悟してたんだけど……！」
小暮の顔がパァッと明るくなる。
「そんなこと……。でも本当に、時間かかるかも……」
「いいよ、今更……1年の頃からずっと好きなんだからさ……、いつまでだって待つよ」
「ありがとう」

小暮と別れて図書館に戻ったサーヤは、またひとつ新たな問題を抱えてしまった自分に溜息をついた。けど、みんなから好かれるのはありがたいことだ。そう前向きに捉えて、少し冷静になろう……。と、自分の好きなファンタジーを読み耽った。そして次の日曜も、久しぶりに自分の創作小説を書き殴り、全ての問題から現実逃避した。