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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第3章 LessonⅢ 悪意ある噂
「いつもなら藤堂君に頼むんだが、生憎、今日は早退してしまったからね。君に使い走りのようなことを頼んで申し訳ない」
美奈子の名前が出たことで、輝は勇気を得た。くるりと振り向き、真摯な瞳で部長を見上げた。入社以来九年間、異動することもなく、この人の下で部下として修練を積んできた。けして愛想の良い上司ではないけれど、部下に対しての心配りや公正さは他の上司よりもはっきりしている。こういう人の下で働けて良かったとも思うし、尊敬もしている。
来春の人事では、いよいよ総務部長から常務取締役になるとの噂もあるほどのやり手だ。
美奈子の名前が出たことで、輝は勇気を得た。くるりと振り向き、真摯な瞳で部長を見上げた。入社以来九年間、異動することもなく、この人の下で部下として修練を積んできた。けして愛想の良い上司ではないけれど、部下に対しての心配りや公正さは他の上司よりもはっきりしている。こういう人の下で働けて良かったとも思うし、尊敬もしている。
来春の人事では、いよいよ総務部長から常務取締役になるとの噂もあるほどのやり手だ。