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雪の華~ Memories~【彼氏いない歴31年の私】
第4章 LessonⅣ 忍ぶれど
「―雪」
「本当だ。雨が雪に変わったみたいだね」
 教会にいたのはどれくらいの間だったのだろう。聡が来たのが五時半くらいだったから、およそ一時間半はここにいたことになる。
 腕時計は既に七時をゆうに回っていた。
 さらさらとした粉雪がひっきりなしに天から舞い降りてくる。かなり前から雪になったのか、教会前の公園にははや、薄く雪が積もっていた。
「行こう」
 聡に促され、輝は歩き始めた。大通りに面した舗道に出るには、公園を横切らなければならない。一歩踏み出した時、ひときわ冷たい風が駆け抜け、輝の髪を嬲っていった。
 その時、傍らにいた吉瀬が手を伸ばしたかと思うと、輝の髪に触れた。それは一瞬のことにすぎなかった。輝が驚愕していると、彼は微笑んだ。
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