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禁断のりんご
第6章 ヨコシマな思い
雄太と付き合って2年
が経とうとした頃だった。

大学3年生になった私は、相変わらず浮気ばかりしていた。
だけど雄太のことは変わらず大好きだった。

ぽかぽかとした陽気のある夜、サークルの飲み会を終えた帰り道だった。
時刻はまだ21時前で、まだ飲み足りないなどと考えながらゆっくり歩いていた。

「村上さん?」
突然名前を呼ばれて振り返ると、ゼミの担当教授がいた。
「新井先生…」
今年教授に昇格したばかりの30代前半で、真面目過ぎない授業も好評の教授だ。

新井先生ならモテるだろうし、きっと経験豊富だろう。
女性の扱いもスマートで、セックスも上手く、大人の余裕があるのだろうか。


「サークルの帰り?バイト?お疲れ様。」
一気に現実に引き戻され、教授のことすらそんな目線でしか見られない自分が恥ずかしくなる。
「あ、はい!先生もお疲れ様です…。」
当たり障りない返事をしながら、ふと思い出すことがある。

ゼミ担当教授による卒業論文指導。
うちの学科は必修の卒業論文が厳しく、単位を落として卒業出来ない生徒が毎年それなりにいると先輩に聞いた。
卒業論文で最も難しいのは担当教授の合格らしく、
教授と仲良くしておくと得だとも噂だった。

別に勉強が好きなわけでもなく、
授業だって単位のために出席して、
何とか適当に授業やテストも乗り切ってきた。
卒業論文なんて正直書ける自信もないし、書きたくない。
だけど留年はしたくなかったから、卒論の単位は絶対に必要だった。


「あの…もしお時間あったら、相談があるんですけど近くでお茶でもどうでしょう?あ、もちろんご飯とかでも大丈夫ですけど!」

気付いたら口から出ていた言葉。
自分のメリットというヨコシマな気持ちで誘ってしまった。

「いいよ、どうせ家に帰るだけだし!そこでも入ろうか。」


入ったファミレスで、ソファー席に向かい合わせで座る。
私がオレンジジュースを頼むと、先生はふっと笑ってコーヒーを頼んだ。

相談なんてなかった私はとりあえず、彼氏と上手くいっていないと説明した。
20代相手なら彼氏の話題なんか触れずにとりあえず飲みに行けばどうにでもなる。
だけど30代が相手の場合は
若過ぎる印象を与えず、好意は出し過ぎない方が良い。
特に教授という立場を考えると、警戒心を持たせないことが最優先である。
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