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第2章 元カレと体調不良

「もう、連絡してこないでっ！」

声は大きくなったが、頑張って冷静を保って、それだけ言って電話を切った。

バカにするのもいい加減にしてっ！！！

携帯を握る手に力が入る。
何であんなに軽いのよ！
何であんなに悪びれてないのよ！
どうしてすぐに着信拒否にしておかなかったのか…
あいつにも自分にも腹が立つ。

『相手にとって好都合なんだよ』

あぁ、そう言えば、滝本さんに言われたな。
好都合…
私はあんなやつの性欲処理に完全に好都合な女だったんだ。

カウンターから見える外の景色が滲んで来た。
何泣いてるのよ、私。
こんな事では泣かないでしょ？
我慢しなきゃ、仕事中なんだから…

身体が震えてきて、頬を伝う液体は確実に涙だ。
下唇を噛んで堪えようとしても、流れ出てくる涙は勢いを増す。

悔しい、悔しい、悔しいっ！！！

外からも店内からも見えないように、突っ伏して顔を隠した。
『好都合』という言葉が、また私の頭の中に張り付いてしまった。
突っ伏したままで、涙が止まるのを待っていたら、テーブルの上で再び携帯が震えた。
イラッとしながら画面を見ると、あいつではなくて、滝本さんからの着信だった。

「……はい、佐々木です。」

『佐々木、悪い。すぐに戻れるか？』

やっぱり…
今日もゆっくりなんて出来なかったか。

「はい。今から戻ります。」

『…お前、何かあったのか？』