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12→13
第2章 動き出した歯車
「あ。聖人、いらっしゃい。」
「紫乃、どういうつもりだ……って、」
「あ。榊原主任だー……」
『あ。おつかれさまれーす。』
「……………紫乃、」
「ん?可愛らしいウサギとクマ。」
「…………はぁ。酒をくれ。」
フワフワした空気の中で、わたしは良いだけ酔っ払っていた。
紫乃さんの作るお酒はきっとわたしにはとてつもなく良く効くんだと思う。
紫乃さんの意図的なものだとしたら、これは天性の神の手だけど。
只でさえ、主任が来るとか言うから、わたしはピッチを上げていた。
シラフで会えるものか。
そう思っていたら、いつの間にか、わたしは何も考えられなくなっていた。
一つだけ、頭が働いたとしたら、明日が休みで良かった、ということだけだった。
『そーちゃん、そーちゃん、』
「ん?なに、みのり。」
『紫乃さんがアイスくれたよぉー。』
「俺にも食べさせて。」
『ん、はい。』
隣で、主任が見ていることなんて、お構い無しになっていた。
それに、紫乃さんは楽しそうだ。
「くすっ、聖人、グラス空いたよ、」
「……ったく、悪趣味だな、てめぇは。」