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素直になれなくて
第8章 波乱と別れ
悠里さんはモテるんだよね。
あのいつも一緒にくる浅井って男。彼も悠里さんを好きだよね。
でも、振り向いて貰えてない。
当たり前だ。だって悠里さんは僕のモノだから。
そして、現れたアイツ。
気に入らなかった、あの汚い物を見るような目で僕の事を見ていたあの男。
アイツの不手際って事にして、悠里さんを手に入れてやろうと思った。
アイツ、焦るだろうな。
俺を、あんな目で見た事を後悔すれば良い。
そう思っただけなのに。
アイツが、親父に変な事を吹き込んだおかげで、僕の計画は全て台無しになった。
アイツの所為で……アイツの所為で……
岡山へ、出向になったんだ。
暫くぶりに、親父から連絡が来た。
見合いを勧められて東京へ戻ってきた。
相手は、なんで悠里さんじゃないんだ?
親父に詰め寄った。
親父は、いい加減に諦めろと言った。
そして親父から思いもかけない事を聞いた。
僕の嫌いなアイツが、悠里さんと付き合ってると。
ふざけるなっ!
俺の事を陥れておいて、お前だけ幸せになんかさせない。
奪ってやる。
アイツから、何もかも。
悠里さんも……
僕は、帰った振りをして、東京に留まった。
あの、三軒茶屋店で待っていれば、きっと彼女はやって来る。
僕が、唯一手に入れられなかった彼女が……きっと……来る。
「ん?何だ。人集りが…何かあったのか?」
浅井が、店の前に車を寄せると、店長の三浦が血相を変えて走ってきた。
「浅井さんっ!」
「何、何かあったのか?」
「田坂さんが刺されましたっ!」
「は?」
浅井は、耳を疑った。何で……誰に?
「悠里は?」
「それが、見当たらなくて……」
浅井は、全身の血の気が引いた。
車から降りると、倒れている田坂に駆け寄った。
「あ……おいっ!田坂っ!しっかりしろっ!」
とても大丈夫な状態には見えない田坂を、浅井は迷わず抱き上げた。
「……浅井…さ………悠…里っ……が……若……社長……」
田坂は、途切れ途切れの声を絞り出し、血塗れの手で路地裏を指差した。
若社長?飯島かっ……くそっ!
「わかったっ!お前、絶対死ぬなよっ!」
泣きそうになりながら、浅井は田坂を横たえると、路地裏に向かって走り出した。
あのいつも一緒にくる浅井って男。彼も悠里さんを好きだよね。
でも、振り向いて貰えてない。
当たり前だ。だって悠里さんは僕のモノだから。
そして、現れたアイツ。
気に入らなかった、あの汚い物を見るような目で僕の事を見ていたあの男。
アイツの不手際って事にして、悠里さんを手に入れてやろうと思った。
アイツ、焦るだろうな。
俺を、あんな目で見た事を後悔すれば良い。
そう思っただけなのに。
アイツが、親父に変な事を吹き込んだおかげで、僕の計画は全て台無しになった。
アイツの所為で……アイツの所為で……
岡山へ、出向になったんだ。
暫くぶりに、親父から連絡が来た。
見合いを勧められて東京へ戻ってきた。
相手は、なんで悠里さんじゃないんだ?
親父に詰め寄った。
親父は、いい加減に諦めろと言った。
そして親父から思いもかけない事を聞いた。
僕の嫌いなアイツが、悠里さんと付き合ってると。
ふざけるなっ!
俺の事を陥れておいて、お前だけ幸せになんかさせない。
奪ってやる。
アイツから、何もかも。
悠里さんも……
僕は、帰った振りをして、東京に留まった。
あの、三軒茶屋店で待っていれば、きっと彼女はやって来る。
僕が、唯一手に入れられなかった彼女が……きっと……来る。
「ん?何だ。人集りが…何かあったのか?」
浅井が、店の前に車を寄せると、店長の三浦が血相を変えて走ってきた。
「浅井さんっ!」
「何、何かあったのか?」
「田坂さんが刺されましたっ!」
「は?」
浅井は、耳を疑った。何で……誰に?
「悠里は?」
「それが、見当たらなくて……」
浅井は、全身の血の気が引いた。
車から降りると、倒れている田坂に駆け寄った。
「あ……おいっ!田坂っ!しっかりしろっ!」
とても大丈夫な状態には見えない田坂を、浅井は迷わず抱き上げた。
「……浅井…さ………悠…里っ……が……若……社長……」
田坂は、途切れ途切れの声を絞り出し、血塗れの手で路地裏を指差した。
若社長?飯島かっ……くそっ!
「わかったっ!お前、絶対死ぬなよっ!」
泣きそうになりながら、浅井は田坂を横たえると、路地裏に向かって走り出した。